「フリーレンジチキン」を食べてみた & カンポンチキン(エッグ)信仰に関して

カンポンチキンが美味しいであろうことは簡単に想像付くのですが、今までスーパーで買ったカンポンチキンでは違いがわかりませんでした。ただ、数年前に寿楽@SS15で食べたお吸い物に入っていた「一切れの鶏肉」がめちゃくちゃ美味しくて、この鶏肉はなんですか?と聞いたらカンポンチキンであると言われた。そんな経験があるだけです。

今回、Red Tick という通販会社から買った「フリーレンジチキンの腿肉」を食べてみました。Free Rangeというのは籠に押し込めて育てた鶏ではなくて「放し飼い」のイメージですね。実際には違うらしいですが。

それに塩コショウをし、小麦粉を付けて揚げてみました。

まず一口。美味しいと思いました。そしていつもの腿肉のようなフニャっとした柔らかさはなく、でも硬いわけでもなく、程よい歯ごたえがあって良い感じ。

ところがですねぇ、では何も知らずにこれを食べて、いつものと違うのがわかるかと言うとどんなもんでしょう。やっぱりこれは普通の鶏ではないという刷り込みがありますから「美味しいに違いない」というバイアスが掛かっているような気もします。

大きな違いはない、と言って良いのかもしれません。

そもそもフリーレンジチキン、カンポンチキンとはなんなのか。

フリーレンジは上にも書いたように放し飼いのイメージで、それはカンポンチキンも同じですね。でも我々がイメージする放し飼いとはかなり違うようですが・・・。

調べてみてもカンポンチキンとは田舎の鶏という意味でしか無くて、どういう品種なのかどう育てられたのかの「明確な基準」はないんですね。ただなんとなく「田舎で野放しで自由に動き回って育った鶏」だろうと想像するだけ。

でも売っている鶏肉にはカンポンチキンと書いてあるだけで、その詳細は全くわからず。

いろいろ調べてみてもはっきりした定義は無く、インチキ物も多く出回っていると書いてあります。でも本来のカンポンチキンの定義がないわけですから、インチキ物もへったくれも無いんじゃないかと。

ただ、もし私が養鶏を始めて、「これはカンポンチキンだ」と言えばカンポンチキンになってしまうのは間違いなし。

あちこち読んでいて感じることは「カンポンチキン(エッグ)」というのは伝統だけれど、ここから現代的な基準の方へ移行しようとしているように見えるんですわ。新しく出てきた概念としては世界共通の「オーガニック」であって、それの認定を政府機関が始めていて、オーガニックは餌から育てる環境から厳しい基準があるわけで、あいまいなカンポンチキンに変わるものとして出てくるんじゃないですかね。また育てる鶏の種類もそうで、ある種だからカンポンチキンだなんてのは意味がないわけで、また世界的に一般的な「赤鶏」を新たな基準で育てれば、今までのカンポンチキンに変わるものと成り得るし、そもそもカンポンチキンは効率が悪いんですね。育ちは遅いし、基準はあいまいで、それにお金を掛けて育てるなんてことは養鶏従事者もやりずらいんじゃないですかね。真面目にやっていてもわけのわからないカンポンチキンも出てくるわけで、そのカオスから抜け出て新しい基準でわかりやすく、公的期間の認証も取り、消費者にも受け入れやすい鶏を作ろうとしているように感じます。フリーレンジチキンというのが出てきたのもそれで、世界基準に合わせようとしている様子。

現状は「我社のカンポンチキンは安全で素晴らしい環境で自由に動き回って育っています」という【自己申告】が中心になっている。でも本当に素晴らしい環境なのか、餌はどうなのかもわからないわけですよ。そういうものが市場に溢れて「市場原理に任せる」というのでは混乱が起きますもんね。だから新しい基準づくりにマレーシアは動いている様子が見えてくる気がします。これはカンポンエッグも同じ。

それぞれの業者がそれぞれの勝手な基準で育てて「我社のカンポンチキン(エッグ)は最高だ」なんてのじゃ意味がありませんよねぇ。

またインチキ物に関してですが、カンポンチキンは色が黄色っぽいのが普通らしく(今回のフリーレンジチキンも黄みがかっている)、2013年には「塗料を鶏に塗って騙す」ケースもあったと。それを読んで思ったのはある大型のスーパーの売場に、変にところどころ黄色が強いカンポンチキンが売られていたのを思い出して、まさかあれがそうだったのか?なんて思ったり。でもスーパーのバイヤーがインチキ物を仕入れるとは思えないものの、安いのが評判のスーパー任せってのがちょっと気になります。

またウェットマーケットに至っては、ちゃんとしたバイヤーが仕入れをしているわけでもなく、一体どんな物が並んでいるのか。

ただし、消費者、特に鶏を長年食べ続けている人にはインチキ物はすぐにバレるはずで、ウェットマーケットでインチキ物を売るとも思えず。どこのウェットマーケットに行ったらどんな鶏を売っているのか多くのローカルの人たちは知っているんでしょうね。でも私には本当に美味しいカンポンチキンがどこで売っているのかはわからない。

困りましたねぇ。

ただカンポンチキンはCaponという品種を使うことが多いらしいことがわかってきました。これはスーパーで売っているブロイラーとは全く違う品種で、育ちも遅く、しっかり育てると「身は赤っぽく」「水分が少なく」「歯ごたえがある」美味しい鶏になるとのこと。まさ地鶏って感じですね。

逆によく我々が食べているブロイラーですが、早く、そして肉付きの良い鶏にするために品種改良が続けられ、50年前には4-5ヶ月掛けて成鶏になったのが、今ではなんと40-50日で成鶏となるとのこと。このスピードって人間で言えば、7歳で身長170センチ、体重55キロでヒゲまで生えているのと同じ。(@_@;)

そして興味深いのが、当然、成長促進剤やワクチン、抗生物質を使うところが多く、それが人間の口に入ったらどうなるのかとは別の問題として、それらの薬品を使わないと成長が遅くなる(歩留まりも下がる)のは当たり前だけれど、そこには安全性とは別の「美味しさの秘密」もあるらしい。

この様な話を見つけた。

「およそ9割の養鶏生産者が、鶏にやる餌に抗菌剤を添加しています。そうすることで鶏は胃腸の状態がよくなるので、下痢をせず食べた餌をすべて栄養として吸収できるんです。でもうちは抗菌剤を使わない。そうすると少し鶏のお腹が緩くなって、消化吸収の効率が悪くなってしまいます。結果、4日ほど飼う期間が長くなってしまう。けれどもその4日間が余計にかかることで、味が深くなっておいしくなるんですね」

これは日本の話しですが、たった4日だけ余計に日にちを掛けると美味しくなるなんて嘘みたいですよね。だったら美味しくすれば良いのにと思うものの、4日育成期間が長くなるってことは出荷量が10%減るわけで、養鶏者には大きな違いなんでしょうね。

そもそも若鶏は柔らかいけれど、ある程度育ったもののほうが美味しいというのは昔から言われていましたし、カンポンチキンは長く、大きく育てるのが普通みたいですから「美味しいのも当たり前」なのかもしれませんね。スープにするには「ひね鶏」の方が良い出汁が出るというのと同じことなんでしょう。でも普通のブロイラーをほんのちょっと長く育てたら美味しくなるんだったら、そんなことをして売っているブロイラーもあるんじゃないかと思ったり。

一羽丸ごとで売っている「DQチキン」が美味しいとローカルの中国人に聞きましたが、かつてビレッジグローサーに売っていましたが最近は見かけず。そしてこのDQチキンはオーガニックの認定をマレーシアで始めて取った業者らしく、その後を追うように多くの生産者も動いている様子。

DQチキンはカンポンチキンではなく「フレーレンジチキン」と言っていますが、彼らのホームページを見ると鶏にもいろいろあるんだというのがわかる。


この中にカンポンチキンや様々な鶏の違いの表がありました。(ここをクリック)

私は、鶏はある程度大きいほうが味があるのは間違いがないと思っていて、スーパーで買うときも大きめの鶏を探すようにしています。(大きくても硬いということはない)

また前にも書きましたが、鶏を屠殺したあとは安全のために体温を冷やさないとなりませんが、普通は冷水に入れて体温を下げる。そしてどうもスーパーを見ていますと「氷水に漬けたまま流通させている」ように見えるんです。これってどうしたって水を吸い込んでズブズブになるはずで、変に柔らかいのはそういうことなんじゃないかと思ったり。でもそれとは違って丸ごと一羽パックされていて「Air chilled」と書いてあるのがある。あれは「冷風」で温度を下げているという意味で、水につけっぱなしなんてことはしていないから、きっと美味しいのは間違いがないんじゃないですかね。なおかつブランド物には抗生物質はつかっていないとかいろいろ差別化がなされているようですから、一羽ずつパックされたものを調べみたら美味しいのにぶち当たるかも。

どちらにしても我々素人にはどんな品種の鶏をどう育てたのかもわからないし、安全という意味でも私は申し訳ないけれどマレーシアのスーパーを信用していなくて、本当に美味しくて安全な鶏って手に入るのかが気になります。でもこればかりは悩んだところで解決しないわけで、口コミを頼りにより良いものを探し、最終的には自分が食べてどう思うかってことでしかないんでしょうね。

そういう意味では今回のRed Tickのフリーレンジチキンはそこそこ美味しかったし、腿だけ買えるのも良いと思いました。(Red Tickはここをクリック)

でもねぇ、価格を見てみると普通の鶏の50~90%高いのね。それだけの値段差の違いがあるかどうかは疑問。

そういう意味じゃ、近くにウェットマーケットがあって、そこで美味しいカンポンチキンが売っていたらそれがベストなのかなと思ったり。これはカンポンエッグも同じですが、カンポンエッグという品種や規定もないらしい。言ったもん勝ち。(笑)

スーパーで買う卵には本当に困っていまして、比較的高い卵(10個で8リンギ)のを買っても、家で割ってみたら黄身も白身もデレ~~としているのがあったり。では5リンギのはもっと酷いかというとそんなこともないのね。結局、どれが良いのかわからず、毎回ギャンブルをしています。(笑)

卵も近くのウェットマーケットで安くて新鮮で美味しいのが売っていればそれに勝るものはないんでしょうね。でもモントキアラ周辺ではそういうウェットマーケットの話は聞いたことがない。

一度行ってみたい農場があります。そこではオーガニックでカンポンチキンを育て(Caponという品種)、ここまで大きくしているらしい。きっと肉質は硬めでも美味しいんじゃないかと想像しています。

カンポンエッグもあって、こんな新鮮さらしい。

私は「カンポンエッグ」こそ普通の卵とは大きな違いがあるんじゃないかと思っていまして、一般的な鶏卵農場って恐ろしい環境で育てているらしいのはドキュメンタリーで何度か見ました(ユーチューブでも探すと出てくる)。狭い籠に押し込めて薬漬けで、動物愛護上の問題があると世界中で話題になっている。だからこそもし放し飼いの鶏から生まれるカンポンエッグだとしたらかなり違うんじゃなかろうか。

一度はきっちりカンポンチキンを育てている農場に行こうと思いますが、そこの鶏や卵が美味しくてもどうにもなりませんよね。いちいち車で一時間以上掛けてその農場に通うなんてことは出来ませんから。

でもそういう小規模農場は各地にあるようで、中には「宅配」をやっているところもあるかもわからず、いろいろ探してみようと思っています。

 
 
 

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