イスラム国がなぜ脅威なのか

周りの友人知人と話をしますと、殆どの人がイスラム国(ISIL)の実態を知らないのにびっくりしました。

まぁ、それはそれで仕方がないと思います。今回の事件も【対岸の火事】であって、そういう「危険なところに行かなければ良い」というところで自分の中で結論を出しているのでしょう。

ただ私としては、ISILは今までの「過激派」とは違うところがあって、そこのところは押さえておかないとまずいと思うんです。

「ISILは今までの【過激派組織】とは組織形態に違いがある」という点。

これは前に紹介した元外交官の佐藤優氏が解説していますが、大きな流れとして2001年の9月11日、ニューヨークの同時多発テロから本格的な活動が始まったと考えて良いと思うのですが、当時は「組織化」されたアルカイダが存在し、ビンラディンという指導者、そしてその下に組織が構築され、それが指令を出し「大きな組織」として動いていた。

ところが、こういう「普通の組織」の場合、末端で何か起きた場合、そこを上に辿って行くと組織の全貌もわかり、ポイントポイントにどういう人材がいるというのもわかってくる。いわゆる会社組織に似ているのでしょう。

つまり米英にとって、どこの誰がどういう力を持っているのかがわかるわけで、米英は要職につく人たちは尽く、綺麗に掃討した。

これで普通なら「組織はバラバラに解体」され、「終わり」になるわけですが、そうはならずに次々に指導者、指導層が現れ、アルカイダも進化した。そして今までのやり方では駄目だと気がついた。

今は佐藤氏によるとアルカイダから分離したISILはアルカイダの第4世代とのことですが、今までの組織とは違う形態を持つようになったというんですね。

簡単にいえば「フランチャイズ」みたいなものでしょうか。中央には「求心力のあるグループ」をおいて、その下に連なるのはそれぞれが独立した「小さな組織」の集合体とする。ここには「中央集権的な命令系統」は存在せず、他のグループとの横の連携も希薄。

その末端の小さなグループは3-4人で構成されていて、それぞれが自らの意志によって考え、行動するという組織に作り替えた。この手の組織体は個別に攻められてもどこかが生き残って活動を続けられる。

ここには「はっきりした指揮系統」もなければ「資金援助のルート」もなく、それぞれの末端グループは独立採算制と言ってもよいはず。当然、戦略も変わって、「大きな事件」ではなくて「多くの小さな事件を各地で起こす」方向ではないでしょうか。

ある意味、有象無象の集合体みたいなもので、「イスラム国」はその中のトップ、あるいはトップグループの一つという捉え方をするべきなのでしょう。イスラム国はアルカイダから「破門」された組織ですが、「イスラム国家の再建」という「大きな目標」においては合致していて、それら大小のグループが「一つの方向に動く」ようになったのが今の状態。

つまり、壊すべき本流がはっきりしないってことだと思います。そうすることによって彼らは「生き延びる」方法を考えた。

ですからもし「イスラム国」を壊滅に追いやることが出来ても、それが解決にはならない。でもまずはそれをやるべきだと思うのですが、注意すべきは「イスラム国だけじゃない」ということでしょう。フランスのテロもあれは「イスラム国」ではなくて「イエメンを拠点とするテロ組織【アラビア半島のアルカイダ(AQAP)】だったわけですし、オーストラリアのテロは「自称アルカイダ」の異常者だったようですが、世界中に散らばる「イスラム国家再建」を夢見る人たちに「立ち上がれ」と号令をかけているわけで、「イスラム国ISIL」という組織だけに気を配っていてもどうにもならない。

だから「中東に行かなければ大丈夫」という危機管理法はもう通用しないってことでしょう。

私としては「イスラム国、ISIL」そのものは終焉の方向に動いていると読んでいます。潤沢にあった資金も、横流ししていた石油価格の暴落、英米による油田や関連施設の破壊によって、資金難状態にあるとのこと。また、ISILが制圧していたシリア北部の都市「ゴバニ」を奪還しましたが、英米の爆撃、クルド人民幣組織との地上戦でかなりの死者を出した様子。そして継続的に行われている爆撃で数千人のISIL兵士が死んだと報道されていますし、もともと大きな組織ではない彼らが弱体化しているのは間違いがないと思っています。

またISILにシンパシーを感じてシリア入りしてISILに参加しようとする世界各国からの流入も減っているのではないかという解説を読んだことがあります。その背景は、まさにISILはアルカイダに破門されたのと同じ理由で、あまりにも非道で残酷すぎるという点。また外国から入ってきた賛同者をも100人単位で粛清したという情報もでていて、シンパシーを持っていても参加には二の足を踏むとのこと。イスラム国の「自称カリフ」も「カリフ(イスラム国家の最高指導者)として認めない」動きも広がっている様子。

そして「アメリカが地上戦への参加」も考えだしているというニュースが入ってきましたし、アメリカも「チャンス到来」と読んだのかもしれませんね。

そんなことも考え合わせると「イスラム国」そのものは長くは続かないだろうと思います。

でも、それとて彼らの想定内であるってことなのでしょう。その為に「組織そのものを変えた」わけですから。

今までは「アルカイダ」という大きな病巣があって、それを取り除けば良いとそうしてきたわけですが、現在は体中に癌が転移したのと同じ状態で、一つの病巣を取り除いてもあちこちに散らばったグループの行動を止めることは簡単ではないと思うのです。そもそもイスラム国そのものが、小さな病巣が大きく育ったものでしかないところを考えるべきでしょう。そして誕生の背景は米英が行ったサダムフセイン体制の崩壊が発端。

彼らは「アッラーハクバール」(神は偉大なり)と叫び、死を恐れない人たち。そして敵を殺すのは「義務」であり「善」であり、敵を助けるものも敵であるわけで、今回、日本も敵だと断定された。日本が「人道支援に限る」と言ってもお金に使用目的が書いてあるわけでもなく、当事国が人道支援に回す資金を減らすことができれば、その分、武器弾薬を揃え、兵士を養う方へ回せるわけで、「人道支援」は「方便」としかならないのは明白。あるいは日本の「自己満足」「スタンドプレイ」あるいは本当にわけがわかっていない「アホ」かとしか世界は見ないのが普通でしょう。

でも「何もするな」という意見には私は反対で、「方便」を使った「支援」でも良いと思っています。また安倍さんが「中東を訪問」し「支援を打ち出した」のはイスラム国の終焉が見えたという分析があったからかもしれないと思っています。問題が解決する前に、「支援した」という事実を作る必要があったのかもしれません。でも、それが日本人二人の殺害のキッカケとして利用されたのは間違いがないと思いますが、では安倍さんが「中東にも行かなかったら、支援も言い出さなかったら」どうだったのかも考える必要がありますね。

しかし死を恐れない兵士ほど相手にとっては怖いものはないはずで、それはかつての日本軍も同じ。でもイスラムの兵士たちは死を恐れないどころか、死んでも「幸せ」、生き残って初志貫徹できれば「幸せ」、敵を殺すのも「幸せ」、敵に力を貸すものを殺すのも「幸せ」。それはかつて日本兵が恐れられたようなレベルじゃないと思うんです。

そういう「聖戦」を心に誓う人たちが世界中にいて、「立ち上がれ」と号令を掛けられて、実際に行動にでたのがフランス、ベルギー、オーストラリアなどで起きているテロ。

今までとは様相がまるで違うと私は思うし、これがイスラム国というか、その背後にある大きな流れに脅威を感じざるを得ない理由。だからといって迎合しろというわけではなく、「彼らがイスラム再建を望むのは彼らの自由」だとしても「現代の世界的なコンセンサス」に反するやり方には絶対に屈服してはならないはずで、(英米が作ったにしろ)国際法に照らしあわせて対処するべきでしょう。

普通、テロリストは自分たちもテロリストだという自覚があるんじゃないかと思うんですよ。ところが近年の動きは彼らにはテロリストとか犯罪者とか言う自覚がまるで無いように感じます。彼らにとっては「聖戦」であり、神に褒め称えられる行動だと信じているはず。彼らの「邪魔者は消す」感覚はシロアリ駆除の業者が徹底的にシロアリを殺すのと変わらない感覚じゃないでしょうか。

それと私はどうしても「マレーシアがらみの飛行機事故」が頭から離れません。前の日記に書きましたが、2014年に起きた航空機事故・事件は8件。その内の3件は離着陸時の事故。残る5件の内の3件がマレーシアがらみで、他の二件はオンボロ飛行機が墜落したような事故。極端にいうと、大きな事故、事件はすべてマレーシアがらみと言っても良いかもしない。

これは確率的に考えて、「なんらかの力が作用している」と考えるのが妥当だと思うんですよ。

エアーアジア機事故の直前にマレーシアでは大きな洪水被害があったそうですが、その時にナジブ首相はハワイでオバマ氏と優雅にゴルフをしていたと非難を浴びた。でも私は国のトップがゴルフをするというのは「それだけ重要な話がある」からだと思っていて、そこらのオヤジみたいに「お付き合い」だの「親交を深める」為だなんてことは絶対にあり得ないと思っています。一体、彼らは何を話したんでしょうか。

それとマレーシア航空機の失踪事件では、「機長の自爆テロ」という論も出ていましたが、その当時、それは無いだろうと考えていました。理由は単純で「事故に見えるようなテロ」では「世界に訴えるものが何もないから」です。

ただ、「分かる人に伝わればそれで良い」という考え方もあるんじゃないかと最近思うようになりました。当然、それは「マレーシア政府」であり、「志を同じくする同胞」。テロという言い方をすると「世界に存在感を出すもの」とすぐ考えますが、「イスラム国家再建」を望み、そして「祖国マレーシアを愛する」が故に「関係者だけにはわかる訴求の方法であって」「対外的にマレーシアが傷つく」様にはしなかったという見方もありそうに思うのです。

「イスラム再建」そのものが非イスラムから見ると怖いことに思えるわけですが、「敬虔なる信徒」であるならばそれを望むのは当たり前でしょうし、前の日記に書きましたが「マレーシア人の18+7=25%は自爆テロに(ある一定の)理解を示している」という調査結果を無視するわけにはいきませんし、これもまた以前書きましたが、マレーシアという国の裁判所が「ブレアとブッシュ」を「戦争犯罪人(イラク戦争)」として「有罪判決」を出した事実も無視できません。

要は何が起きているかというと、オサマビンラディンがそうでしたが、アメリカ寄り、非イスラム寄りの祖国サウジアラビアを本来あるべき姿に戻そうと計画を練っていたわけですよね。世界にはそれと同じような使命を感じる人は決して少なく無いということじゃないですかね。つまり「今のマレーシアは本来あるべき姿ではない」と考えるモスリムがいてもおかしくないわけで、そして過激派はサバ州東部で暴れているけれど、それは氷山の一角かもしれない。そしてそれはインドネシア、フィリピンも同じ。

また、イスラム国は各言語でリクルート情報を発信しているようですが、まだ日本語のはないとのこと。でも日本国内にもリクルーターと言っても良いような人が存在するのは間違いがないようですし、モスリムの「穏健派」の声だけを聞いていて、一連の事件は「異常なテロリストの犯行」だと纏めてしまうと、今、世界で何が起きているかが見えなくなって、かなりまずいような気がするのです。ある意味、テロリストの犯行も「氷山の一角」だと考えるべきだと私は思っています。そして「穏健派」も氷山の一角ではなかろうかと。

ローマ法王が昨年、「第三次世界大戦が始まった」と言ったのはこういうことなのかも。

安倍さんが「自衛隊が動けるような法整備」を言い出したのも、こういう世界の大きな流れを見ての判断かもしれないと思いました。これをすぐに「中東に自衛隊を派遣するのか?」みたいに考えてはまずいわけで、いつどこで何が起きるかわからない時代になったとすれば、「動ける自衛隊」であることは重要だと思います。中東に関しては現実味がまるで無く、政府もそう言っていますが、もし、東南アジアで日本人が巻き込まれる何かが起きたとして、そして当事国から援助の要請があったとしても「見ているだけ」「非難声明をだすだけ」しか出来ないのは異常だと私は考えます。安倍さんは「北朝鮮の拉致問題」には長年携わってきた人ですし、日本国民が外国勢力に拉致される、誘拐されることに手も足も出ない現状を打破したいと考えるのは当然だと思います。

でも長い年月を考えると「キチガイに刃物」状態になる危険もあるわけで、中韓がピリピリするのはそこのところなのでしょう。これは一理も二理もあるわけですが、「政府」ではなくて「国民」が国をコントロールするにはどうするべきかを日本人が真剣に考えるという方向に行くべきだと思うのです。「持っていると危ないから持たない」というのは子供の論理だと私は考えます。でもかつては「朝日新聞」などの極端な煽り報道で、日本が太平洋戦争に突入すべく国民が誘導、洗脳されたことがあったわけで、そこも忘れてはならないと思います。今の朝日新聞は方向性がまるで逆ですが、そういう「洗脳好き」な体質がいまだにあると私は感じます。(ゴタゴタの後に新社長になりましたが、彼は社会部出身とのこと。是非、朝日新聞の一面ではなくて社会面を注視してください。【洗脳】といえるものがあると私は感じます)

自分自身の身辺に危険が迫っている感覚はまるでありませんが、それなりの想定はして行動をしようと思っていますし、今までの危機管理の考え方では危ない時代に入ったと感じます。これは個人も国も同じだと思います。

今回の事件は【対岸の火事】の時代の終焉を意味していると思います。二人の日本人の死で終わったのではなくて、これからが始まりなんでしょう。

 

 
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