ストリートフォトグラファーの悩み

写真が趣味の人で、特に身の回りの写真を撮る人は特に気になることがあると思います。それは被写体になった他人の肖像権、人格権を含む権利、あるいは断る権利に関してです。

実は、前の日記に乗せた写真に関してコメントが付きました。配慮が必要だと。その写真には「どこの誰だか特定できる」個人が写っているから。

これは非常にややこしい問題で、写真に興味が無い人は「写さなければ良いじゃないか」「ブログに載せなければ良いじゃないか」となりますが、そう簡単にはいかないんですね。特に私のように「人」を撮るのが好きな場合、人を撮らなければ良いと言うのを簡単に受け入れるわけにはいかないのです。もしそれが法律に触れるのであればそれに従いますが、法律的に問題がない場合は、さてどうしたらよいものなのか。

この問題ってかなり前から、特に最近の日本では良く出てくる話で、投稿写真を扱うようなサイトでは独自の規定を設けているところもあります。それは「個人特定が可能な写真は駄目」ということ。そこまではっきり書かないにしても「考慮するべき」という考え方があります。

それはそれで私は非常に良く理解出来まして、自分の写真が撮られてどこかにそれが知らないうちに乗っていたとしたらゾッとしますもの。それも私が「撮られても良い」と思った写真ならまだしも、汚い格好をしてバカ面でもしていたら絶対にやめて欲しい。ましてや「こんなドジがいた」みたいな恥ずかしい写真だったら尚更です。

ですから、撮られる側の気持ちを尊重すると、「必ず承諾を取る」というのが前提になるはずで、それが出来る場合にはそうするべきだと思います。私も見ず知らずの人に突然カメラを向けて写真を撮ることは「ほとんど」ありません。でもどうしてもそこにいる人が入ってしまう写真は半端じゃなく多いんですね。風景写真もそうですし、旅行に行って建物を写してもそこに通行人が入ってしまうことはある。でも私はその人達に「写真を撮っても良いですか?」とは聞きません。

でも写された本人は「気分が悪い」場合にはどうしたらよいのでしょうか。

修正を加えて特定の個人がわからないようにするという方法があります。ところがですね、ストリートフォトグラファーとしては「人」が主人公である場合、その人達がどんな表情をしているかを撮るのが大事なんですね。例えばある遊園地の有名なジェットコースターを撮ったとする。そこには当然、乗っている人たちが写るわけですし、その人達がどんな顔をして乗っているのかが重要なわけですよね。ですからジェットコースターに乗っている人の顔に修正を入れるということはまずしないのが普通。これは個人の写真にかぎらず、テレビや映画、新聞や雑誌でも同じ。

あるいは泥まみれになって働く人たちの写真を撮るとか、本来撮られたくない写真も撮るわけです。これは「真実の生活の一部を切り取る」ということであって、顔に刻まれたシワを見えないように修正するわけにはいかないんですね。

でも「撮られたくない人」は間違いなく存在するんですね。実は友人を撮った画像ですが、クレームが付いて削除したことがあります。それからは修正を入れるようになりましたが、さて自分が写っている部分はどうすべきか。このブログには私が普通にそのまま写っている写真や映像もあれば、隠してあるのもあって、基本的にはどうするべきか、自分自身に関してもまだ結論が出ていません。気持ち的にはそのまま出しても全く平気なのですが、それって「日本人的」ではないでしょ?日本人は有名人じゃない限りは出さないのが「常識」ですし。私はくだらねーと思うこともあるんですが、いつも常識はずれの割には気になるんです。私はOKでもヨメさんは嫌がりますし、一緒に写っている友人も同じ。だからいつのまにか自分にも修正を入れるようになったのですが、本当はすべての写真にあらゆる修正も入れるべきではないというのが基本的な考え方ではあります。

この手の話に関して有名なのはあのグーグルのストリートビューです。あれには個人の顔や車が写っていますが、個人の特定は簡単なんてもんじゃ無いんですね。住所さえもわかるわけですから。ただこれが犯罪に利用される可能性は非常に高いわけで、誘拐や強盗のデータ収集に使われるかもしれない。また車庫にポルシェが止まっていれば、車泥棒にしてみれば「有難う~~」の写真になる。

また庭はもちろんのこと家の中まで見える写真があるし、他人様には見せたくない格好でウロウロしていたのが写ってるなんてこともあるんですね。ですからストリートビューに対する反発って結構あって、グーグルはいくつもの裁判を抱えているとのこと。また国によってはストリートビューを禁止している国もある。

まぁ、ストリートビューの場合にはあまりにもあの写真からいろいろわかりすぎるくらいわかりますから、「プライベートの保護」の観点から言っても問題があると言えると思います。ですから最近は個人の顔にぼかしを入れたり、車のナンバーがわからないようにしたりするようになってきましたし、最近のストリートビュー用のカメラは高さを低くしたようです。つまり他人の家の塀の中まで写らないようにするため。

ただ、グーグル自身はそれを義務とは考えていないんですね。あくまで増える訴訟や反発に対して考慮するべきだという考え方でしかなくて、私達のように撮られる方には主張できる肖像権は無い。グーグルに撮るなと主張もできないという考え方を持っています。グーグルのCEOが「自宅が写っているのが嫌なら引っ越せ!」とテレビで発言し、問題になっているくらい。

これってちょっとびっくりするわけですが、実際に法律的には「プライバシーの侵害」よりも「撮影者の権利」を大事にする傾向があるようです。これはアメリカの話ですが、国によってその辺の考え方は温度差があって、だからこそストリートビューを禁止にする国もあるのでしょう。

さて日本ではどのように扱われているのか、Wikiにわかりやすい説明がありましたので引用します。

肖像権 Wikipedia  ← クリック

日本を含む多くの民主主義国家では、憲法に「表現の自由(写す側の権利)」が規定されており、公共の場所では、肖像権より表現の自由(写す側の権利)が優先される場合が多い。

人格権に関してはこの様に書かれています。

被写体としての権利でその被写体自身、もしくは所有者の許可なく撮影、描写、公開されない権利。すべての人に認められる。みだりに自分の姿を公開されて恥ずかしい思いをしたり、つけ回されたりする恐れなどから保護するというもの。犯罪の関係者(被害者・加害者・両者の周囲の人々)などが侵害されて問題となることが多い。

これは全くその通りで、「写されたくない」というのはこの事を言うんですね。しかし、次に重要なことが続きます。

ただし、被写体が不特定多数の人々に見られることを前提としている場合、及び撮影内容から個人が特定できない場合などは一般的に人格権が認められない。

つまり、不特定多数の人に見せる場合でも特定の個人を狙った写真でなければOKということなんですね。このような法的解釈があるのは意外だと思う人は多いと思います。

また不特定多数という考え方は2つあって、見るほうが不特定多数というのと、撮られる方も不特定多数、つまり公衆の写真を撮っても道を歩いている人を撮っても法的には問題がないということ。そして

公共の場でイベントに出演したり、デモ活動に参加するといった場合が挙げられる。これらの例では、当人が被写体となることを事前許諾していると認められるため、肖像権を主張できない。

と続きます。しかしながら

イベント会場やスポーツ競技場などにおいては運営側が撮影の自粛や撮影する場合の配慮を求めることがある。

これはその通りだと思います。子供の運動会の写真を撮った時に、他の子どもや応援する父兄を撮らないようにするのは不可能ですが、その写真を公開する場合には配慮が必要であろうとは思います。ところが映像となるとまた話が変わるんですね。たとえば街の風景、運動会の動画でもありとあらゆるものがいくらでもありますが、修正が入っているものは非常に少ない。これは技術的な問題もありますが、なぜか映像の場合には他人が映っていてもしょうがないという思い込みが撮る方、撮られる方、両方にあると思います。ここは簡単に通り越すべき話じゃなくて、掘り下げて考えるべきところ。でも配慮はなくて良いということにもならない。

でもどんな配慮が必要なのか。ここが難しいところで、写真を趣味とする人たちが一番気を使うところだと思います。

今の時代は、特定の個人の写真を撮りたい場合には、「写真を撮っても良いか」「それをブログに乗せても良いか」と聞くことは結構あります。特に、その人だけを撮る場合は殆どの場合そうします。

でも海辺で遊んでいる家族の写真を遠くから写す場合には私は何も聞きません。これは上に書いた「不特定多数」だと思うから。

ところがですね、そこに写っている人を知っている人からすると「不特定多数ではない」ということになるんですね。その人が誰だけわかるわけですから。これはコンサートでも同じで、観衆がワ~~~っと盛り上がる大勢の写真を撮った時にでも、分かる人にはその中の個人が誰なのか分かってしまう。

でもここが重要なのは「不特定多数」とは写す側にとっての「不特定多数」だということなんですね。ですから報道に使われる動画や写真でも普通に多くの人が写っている。「友人のXXXさんが写っていた。とんでもない写真だ。プライバシーの侵害だ」とはならないということ。

また、著作権もそうですが、これは申し立てがあって初めて権利侵害が問われるのであって、赤の他人が「権利侵害」だとは言えない。本人のみがそれを主張する権利があるということ。

ですから、私はまず少なくとも「法律は守る」必要があると思うし、被写体には撮られることを断る自由があるわけですから、事前に「聞く」のは当然だと思うし、また、聞かない場合でも後に「削除依頼」や「修正以来」があったらそれに応えるべきだと思っています。法律的には「貴方にはそれを主張する権利はない」というのが正しくても、それを押し通すのが良いとは思えません。ただし、写す側の権利を全く考えない人も中にはいますからややこしくなるんですね。(これはブログなどの「写真を無断で使わないくでくれ」というのが無効なのと同じ)

実はトラブったというかややこしい話になったことも無くはないのです。

一度は飛行機内の写真を撮った時に、CAから文句が出ました。それは「客のプライバシー」ではなくて「私を撮るな」という主張でした。彼女は彼女が見ている前で私がカメラから該当画像を削除するのを確認するまで怖い顔をしていましたっけ。

もう一度はシドニーのチャイナタウンの様なところだったのですが、私は普通にオーストラリアの中にある中国みたいな風景を撮っていたのですが、変なオヤジが寄ってきまして、「写真を撮るな」というわけです。この時には私は「何を言っているんだ。風景写真を撮って何が悪い」と言い返したのですが、おのオヤジは「You will be in a big problem」と捨てぜりふを吐いて消えていきました。この時にはいささかビビリまして、場所が場所ですから犯罪者も隠れ住んでいたりするかもしれませんし、影から突然出てきて「ブスリ」なんて刺されるかもしれませんし、早々にその場所を引き上げたことを思い出します。

ですから法律的に権利じゃなんじゃというのはひとつの側面だけでしかなくて、撮られたくない人は間違いなく存在するし、また法律がどうだろうと「気分が悪い」という理由だけで文句をいう人は必ずいるんですね。

ですから「撮っても良いか?」と聞くのは大事だと思いますし、海外で言葉が通じないような場合はわざとカメラが目立つようにして、今から貴方の写真を撮りますよ、みたいな仕草をするわけです。ここでニコっと笑えばOKですし、ダメダメという合図をしたり怖い顔をしたり、あるいは隠れるような仕草をする場合には写さない。

ま、この程度のことは写真を撮る人は誰でもするわけですが、実はこれもまたそうすれば良いじゃすまないんですね。というのは、カメラを向けると普通の人は「顔を作る」んですね。そんな写真を撮っても意味が無いわけで、自然体の写真を撮りたいですし、シャッターチャンスというのもあるわけで、記念写真じゃないのですからなかなかうまく行きません。また最近小型のカメラやビデオが出来ましたが、これがまた面倒なことになるんですね。被写体にプレッシャーを掛けないという意味においては良いのですが、相手にしてみると「盗撮された」のと同じ気分になるということ。

そんなこんなで、法律的なこと、道徳的なこと、気分的なこと、感情的なこと全てが関係してくるわけで、ストリートフォトグラファーはいつも悩んでいるはず。私もそうですが、こうすれば良いという結論は私の中では出ていません。またこの手の話は常に討論が行われて炎上することも多く、特に投稿写真サイトでは賛否両論、どちらも正しく、どちらも後に引きませんから(笑)、凄いことになるんですね。ちまたではストリートフォトグラファーはどうあるべきかなんていう指南書、サイトでの書き込みも多くありますね。

ですから、この件に関して無関心であるのは良くないと思います。ただし自分が撮影者としての権利があることも忘れてはならないわけで、シャッターチャンスは待ってくれませんからモタモタオジオジしていたら駄目だと思います。でも自分なりの結論、撮影方法なり投稿基準なりを考えないとならない。また海外旅行の場合はなーんも考えないで撮る、というかなぜか外人を撮るときには相手のことを考えないで撮るようなケースもあると思いますが、オーストラリアは結構五月蝿いんですね。写真は撮るなとはっきり言われることもありますし、またそれが原因でトラブルになったりすることもきっとあるんでしょう。でもカメラを向けるとニコっと笑ったりポーズを取る人が多いのもオーストラリアですから、ま、結局はケースバイケースってことにしかならないのでしょう。

撮る権利が法律で保証されていても、それにしがみつくのも駄目だし、何か言われるのを怖がって写真を撮らない、載せないのもおかしな話ってことですね。

私の好きなストリートフォトグラファーがいます。マレーシア人なのですが、マレーシアに行ったら彼とコンタクトを取りたいと思っていて、彼が主催するワークショップ、撮影会にも興味があります。彼はブログを持っていて、かなりの腕前の写真を多く載せていますが、ストリートフォトグラファーの心構えとか、まさに「知らない人を撮る場合どうするべきか」みたいなことも書いています。ただ、彼はストリートフォトグラファーとして自負を持っていて、報道写真ではないものの「真実の生活」を切り抜くことが重要で、決してフィクションであってはならないと言います。ですから、人が泣いている姿、困っている姿、障害者が苦労する姿など、こんな写真をどうやって撮るんだ?なんて不思議な写真もあるのですが、やっぱり「真実の生活」の記録を撮りたいという意志が勝るのでしょう。

もし暇なストリートフォトグラファーがいましたら彼のブログも見てみてください。彼のブログから伝わってくるパッションは素晴らしい物があると思います。

Robin Wongのブログ  ← クリック

5 Reasons Why You Should Do Street Photography のページ  ← クリック

Approaching Strangersのページ ← クリック

 

 
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