脱水シート市場にビジネスチャンスあり

脱水シートへの興味は、趣味で肉のドライ加工、あるいは魚の干し物を自分でつくるところから出発していますが、自分が欲しいものがまだ十分に市場に出回っていないのがわかりました。ピチットシートは高価であり、それを長期熟成用に使う人もいるけれど、何枚も使うわけだからコストが合わない。ただ、一夜干しとかドリップを抜く様な短期間での使用ならOKで、また流通過程での鮮度維持を製造販売会社であるオカモト㈱も想定しているはず。これはピチットシートのサイトを見てもそれがわかります。

ピチットシートのサイト  ← クリック

では、長期熟成を考えたらどうか。

これは前にも書きましたが、単に水分を抜けば良いということではなくてそれなりの期間置いて熟成させるのが目的。脱水が目的ではなくて、脱水はその期間維持するための一つの条件でしか無いんじゃないでしょうか。つまり、食材に含まれている2つの種類の水分。一つはタンパク質や炭水化物と固く結合した「結合水」であり、もうひとつは自由に動き回る「自由水」。トリップも自由水であり、雑菌はこの自由水の中でのみ繁殖する。だから長期熟成させるにはこの自由水を減らして(水分活性を下げる)安全を確保しなくてはならないのでしょう。

水分があるのか無いのかは熟成そのものには関係ないのかもしれません。この辺は私はよくわかりませんが、牛肉のエージングが段々と流行ってきていますが、エージングにはドライエージングとウェットエージングがありますし、ドライ物も決して乾燥の強い場所で熟成させるんじゃないんですね。ですから乾燥度そのものは熟成には関係無いような気がしています。ただ、熟成の多くには塩が使われており、塩により熟成が進むのと同時に、塩分が多ければ乾燥も進むという関係があるのだろうと想像しています。

さて、それを原点に考えた場合、長期熟成させる時に乾燥が進みすぎてもうまくないというのがわかります。これは肉加工のドライものや牛肉のドライエージングでも結構高い湿度のところで熟成させていますから。となると、浸透圧を使って強制的に水分を抜くタイプのピチットシートは必要がないと言えるし、ピチットシートではなくて半透膜シート、つまりセロファンにしても浸透圧を使う必要はなさそうです。

そもそも羊腸や豚腸に詰めて熟成させるのが原点であるということは、まさに浸透圧を使う必要がないということの証だと思います。

ただ羊腸や豚腸、あるいは牛腸にしても形状に制限がありますから応用が効かない。例えば牛肉のサーロインブロックをドライエージングさせる時にそれを使うのは無理。

ではプロがサーロインブロックをドライエージングさせるにはどうしているかを考えた場合、衛生的に問題がない場所で、温度、湿度をきっちり管理しなければならず、それを素人がやるのは無理。またそういう設備がない小さな商店でも無理。

そんなところに、ドライエージング用のフィルムを開発して発売している会社を発見したわけです。それがアメリカのUmai Dry(クリック)であり、オーストラリアのMisty Gulty(クリック)

彼らが販売している袋はデンマークのTub-EXという会社(ここをクリック)であり、上記の二社はそれの販売代理店。この製品が世に広まったのは2011年の The National Restaurant Association’s 2011 (NRA主催、シカゴ) において’Food & Beverage Product Innovations Award’ を取ったのが発端かもしれません。

つまり、ドライエージングやドライ物の製造は専門家ではないと難しかったのが、彼らの製品を使うことにより、「冷蔵庫さえあればOK」という時代に突入したのでしょう。これがレストラン業界や個人の趣味人の中に広まりつつあるのが現状。

これはピチットシートで使われているシートだけを取り出し、袋状にすれば同等の物になるのかもしれませんが、どうも製造元のオカモト㈱はそういう製品を製造していない様子。元の開発は昭和電工プラスチックプロダクツ㈱で2006年に営業権をオカモト㈱に譲渡。その後、2009年、昭和電工プラスチックプロダクツ㈱は解散。オカモト㈱の前身はコンドームで有名だったオカモト理研ゴム㈱。

ピチットシートの歴史はかなり古く、もう10年にはなりますが、普及度はまだまだこれからという状態でしょう。ただ、オカモト㈱はこれに注力しているようで、年商10億円を目指している様子。

では、上記のUmai DryやMisty Gultyで販売しているような袋が日本で普及するのかどうか。ここは未知数ですが、牛のドライエージングがジワジワと流行りつつあること、またそれによって家庭でも作ってみようとする人たちが将来的には増える可能性はあると思います。ただ今の時点では、素人が作り様がないから流行らないのであって、ドライエージングされた牛肉の美味しさや、家庭でドライ物を簡単に作れることがわかればそれなりの普及はするのではないでしょうか。でも肉社会の欧米でさえもまだ始まったばかりで、大きく普及しているわけではありませんから、肉社会ではない日本でどれほどの広がりがあるのか、またそれにどれほどの時間が掛かるかは検討がつきません。

ただ、今の時点なら、大手ではなくても製造元のTub-EXから日本の販売権を取るのは難しく無いと思うのです。というのは、オーストラリアのMisty GutyもかつてはアメリカのUmai Dryから仕入れていたのを、ついこの1,2年にデンマークの製造元であるTub-EXから販売権を取ったばかりで、Misty Gultyも決して大きな会社ではなく、小さな販売店でしかありません。

また製造元のTub-EXでは小売はせずに卸だけすると会社のサイトに書いてありますが、まだまだ世界の代理店数は微々たるものです。

つまり、まだ始まったばかりでまだまだ中小企業が参入するチャンスはいくらでもあるということ。

どうです?面白いと思いませんか?大手が手を出すようなビジネスではありませんが、中小企業がトライしてみるには時期的にも良いと思いますし、将来的には面白い業種だと思うのです。正社員一人ぐらいの給料はスタート初期でもこれで稼げるんじゃないでしょうか。

私が若くて、日本にいたら是非これの輸入販売の権利をとって、日本各地に代理店をおいてやってみたいです。プロ(レストラン)相手と趣味(燻製方面)の両建て。 (笑)

問題は日本のメーカーがこういう商品を作って売り出すかどうか。ま、やるとすればオカモト㈱でしょうが、自社で作るのかどうか。私がオカモト㈱ならまずは間違いなくデンマークのTub-EXの代理店権を抑えると思いますが、その前にこの権利が取れたら面白いことになるんじゃないかなぁ。今ならどうにかなるけれど、これが流行りだしたら中小には手が出せない商品でしょう。

マレーシアではどうか?うーーむ、難しいだろうなぁ。でも東南アジアをひっくるめて権利が取れたら面白いかもですね。

ただピチットシートみたいな製品の特許がかなりの種類出ていまして、ただ多くはまさにピチットシートのような半透膜シートと吸水シートを組み合わせたようなもので、どちらかというと肉や魚の流通に焦点が置かれている様子。これはオーストラリアでも同じで、肉や魚を買うと、ドリップ吸収シートが使われているのが普通になっています。この市場はとんでもない大きさですから、大手が真剣になるのはわかりますが、中小のレストランや個人でドライエージングをする時に必要な製品は(似たような製品であるけれど)まだ日本では開発されていないようです。

またTub-EXが作っている製品は多岐に渡っており、食品、メディカル向けで、今回話題にしている製品よりもっと面白いものがあるかもしれません。

こういうニッチの製品って面白いんですよね。私も長らく中小企業をやっていましたが、大手が手を出さない、でも面白い製品って結構あるのね。こういう製品をいかに早く手に入れるか、またそれの全国販売ネットワークをいかに作るか、そしてある時期にはその権利を売るとか、そういうビジネスって面白いと思うんですよね~。

誰かやってみません?多分、この1,2年の内には日本にも誰かが輸入し始めて売りだされると思いますが、早い者勝ちかも。

アメリカの販売店であるUmai Dryの製品を使ったレビュー。リブアイを28日間、冷蔵庫でドライエージングしたレポート。

フィレミニオン(テンダーロイン)のドライエイジング。

Capicola(豚の肩肉使用)を冷蔵庫で寝かして作る方法。

ユーチューブでUmaiで検索するとごっそりこの手の動画が出てきます。

また、牛肉のドライエージングだけではなくて、パンチェッタやプロシュートもこれでOK。厳密に言うとドライエージングの場合とパンチェッタなどは違う製品を使う。フィルムは半透膜ですが、微細な穴の大きさが違う様子。

にほんブログ村 海外生活ブログへにほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村 海外生活ブログ マレーシア情報へにほんブログ村 海外生活ブログ マレーシア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ オーストラリア情報へにほんブログ村 海外生活ブログ オーストラリア情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ 海外ロングステイへにほんブログ村 海外生活ブログ 海外ロングステイへ

脱水シート市場にビジネスチャンスあり” への6件のコメント

  1. この記事を読んで以来すっごく気になってます (笑)

    それ以前にキュアリングソルトの存在にすごく惹かれて探し回ってみました。
    やっとの思いでキュアリングソルト#1を探し当てましたが#2は結局手に入れる事が出来ずじまい。

    そこへ、タイムリーなことに再来週にニュージーランドへ行くことになったもんだからそこで入手できないかと企んでるのですがダメっぽい?
    何より、国内持込みできるのか?みたいな。

    硝酸ナトリウムが劇物指定されてるらしいのでそこらへんがネックなのかも。
    ドライエイジングバッグだけでもあったら買って帰りたいなぁ…と。

    あ、先日アマゾンで売っているサーモスタットと電熱器で低温調理すると書いてましたが、サーモスタットの設定でON-OFFの動作範囲を0.1度から0.1度単位で設定できる事が分かり、希望を見いだせています。
    撹拌機能が無い部分は無水調理ができる系統の熱伝導の良い鍋でカバー出来ないかと考えており、ただ今豚モモ肉塩漬け中なのでスモーク後に熱処理試してみようと思っています。

    とっても面白い世界を紹介してくださりありがとうございます。

    • 硝酸塩、亜硝酸塩ですが、なければないで良いのかもしれませんが、長期間エージングさせるとなるとやっぱり怖いですよね。万が一の時には命に関わりますから。

      個人輸入ではどうなんでしょうね。ピンクソルトとかキュア1、2という表示だときっと税関は通っちゃうんでしょうが法律的にどうなのか。

      ドライエイジングバッグも高いですよね。肉の歩留まりも考えると尻込みしちゃいます。オーストラリアのMisty Gultyは確かニュージーランドの販売権利も持っているはずですから下手に探すより個人輸入しちゃったほうが早いんじゃないでしょうか。

      電熱器+サーモ、しかし撹拌は出来ないとなると温泉卵みたいな1度違うと出来上がりが違うようなのは難しいにしても、まぁ、肉の低温調理なら問題ないかもしれませんね。鍋の選定ときっちり蓋をして保温に注意すれば大丈夫かもしれない。

      私は「温度男」なんてアダ名をヨメさんに付けられたくらい(笑)低温調理にこだわっていましたが、最近は全くやっていません。オーブンの面白さにはまってしまいましたし、湯煎の低温調理はしないにしても低温調理の哲学なんていうと大げさですが、それを頭に入れてオーブンで焼くなり、茹でるなりと、そちらの方向へ重点が移ってきました。

      やっていると段々と料理の世界が垣間見れてきますが、土瓶蒸しや洋食のブレゼも低温調理(中温調理?)と考え方は同じで、温度が大事だというのが低温調理を通してわかったのが何よりの収穫だと思います。

      takaさん、肉の低温調理も面白いですが、スープやシチューも結局は同じなんですね。温度が大事。是非、低温調理というドアを開けてその先に広がっている底なしだけれど面白い世界に進んで欲しいと願っています。

      肉の熟成がどうなったか是非教えて下さいね。

  2. 続報。
    豚モモのご報告ですが、結論から言えばちょっと火が入りすぎ。
    70度でスモーク1時間後オリーブオイルで真空パックして鍋の中へ。
    設定温度はちょっと弱気に63度で3時間。です。
    中心温度60度30分が最低ラインと解釈してますが、初めてなので弱気に行ってみました。
    次回チャレンジ時はキュアソルトもあると思うので60度を試してみたいです。
    鍋の上側と下側の違いはあまり見られなかったと思います。
    かなり気を使ったので自作スモーカーボックスの閉じられた中で鍋を加熱したので放熱も少なく温度差の上下が少なかったからでは?と妄想しています。
    もっとぎりぎりの温度帯になってくると違いが出るかもしれないのでそこらへんは今後の注意事項と言う事で。

    ご報告まで。

    • レポートを有難うございます。ワクワクしてきます。(笑)

      写真を見ると随分火が入っているようですね。63度ですかぁ。

      私はスモークのことはほとんどわからないのですが、スモークした後に低温調理ってのがイマイチ良く理解できません。低温調理後にスモークのほうが良いんじゃないかと思ったり。

      • どうなんでしょうね?
        私もよくわかっていません(汗
        ただ、ネットに落ちているベーコン・ハムのレシピは燻製後、加熱(調理)して食べるかそのまま食べるなら熱処理で。って方向のようでいまはそれにならって実行している次第です。

        9月ごろから燻製をやってみようと思い立って自分でBOXを作って試行錯誤してる間にここにたどり着いて、今ではスモークがメインなのか熱処理(低温調理)がメインなのかわからない状態に(笑)

        いろいろ試したいのですが、いかんせん時間がかかるのでいやでもじっくり楽しまざるを得ません。

        また進展がありましたらご報告させて頂きます。

        今使ってる自作BOX載せておきます。
        この電熱器の上に熱伝導が良いとされるステンレス鍋を置き、扉を閉めて調理しました。

        • takaさん、やっぱり低温調理は先にやるべきじゃないですかね。だってスモークしてから低温調理じゃベチャベチャになるだろうし・・。

          スモークの後の調理ってまさに食べるための調理であって、保存のための調理じゃないですよね。

          どちらにしても調理したものをスモークするにしても、なんだかややこしい感じがしますし、もし自家製のハム・ソーセージを作るなら、そしてキュアソルトを使うなら、非加熱のハム、ソーセージこそが面白いんじゃないですかね?

          まさに生ハムとかサラミみたいに。

          なんだかヤバそうだと思えば、その時こそ低温調理して食べるとか。(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

答えは【半角】でいれてください *