低温調理の疑問

低温調理に凝りだして何年になりますかね。炊飯器クッキングから始まってスロークッカーを使い、その後は普通の鍋と温度計、そしてやっと納得の行く低温調理機を手に入れたわけですが、論理的にどうしてもわからないことがあるんですよ。

スタートはローストビーフとか、鶏の白蒸し(海南チキンもその類)で、タンパク質が凝固を始め、そしてもっと温度が高くなると(65度以上)一気に収縮して水分や旨味を出してしまう。だからその温度より低い温度で調理を進めるというのが私の基本です。

ですから牛肉なら58度とか60度、62度辺りで、ロゼ状態が好きな私と、赤いと生だ~~と騒ぐヨメサンとのせめぎ合いでその辺の温度を決めていました。鶏肉なら60度ぐらいです。ちょっとピンクで胸肉も全くパサつかずシットリ上がるし、モモ肉の旨さなんは最高。でも血の赤さは残るので慣れないとびっくりしたり。

これらはお湯につけて管理するのですが、基本的にはオーブンで焼くのと同じ。

ま、そんな感じでどうにか出来ているわけですが、煮物になると全くわからないんです。

これは豚の角煮もそうですが、カレーやシチューにしても、味を染み込ませないとなりませんよね。また非常に柔らかくなるように煮る。

この場合の理屈は焼く場合(湯煎も)とはまるで違う理屈なんですね。

肉を煮込むと柔らかくなるというのは、焼く場合の「タンパク質が凝固しない」とか「コラーゲンが収縮しない」とかそういう柔らかさじゃないんですね。

焼く場合では絶対に駄目な温度を通りすぎて、コラーゲンが収縮し、固くなった後もさらに温度を上げると、今度はその結束して固くなったコラーゲンが変性してゼラチンとなり、繊維の結束が緩くなる。これが煮込んだ状態。この時に、すでに出てしまっていた味が煮汁と一緒に肉の中に取り込まれる。これを煮物と呼ぶんでしょう。

でも繊維の結束が緩くなっただけで、繊維自体は固いんですね。これはミディアムレアで肉が柔らかいという柔らかさとは全く違う柔らかさ。

世の中には煮込んでも繊維が固くならない良い肉もあるわけですが、結局わかったのはオーストラリアの肉ってそういう肉は少なくて、まぁ、日本で言うと安くて固い肉なんですね。豚の角煮が難しいのもそれが理由だと思っています。(でもなぜかオーストラリアは豚が高い)

でもそれをどうにかするとしたら、

○ 繊維が固くなり過ぎない温度で
○ しかしコラーゲンはゼラチンにする

事ができれば柔らか煮ができるわけですが、その温度とか時間がまるでわかりません。どこをどう調べてもはっきりした答えが見つからないのです。

柔らかくするにもコラーゲンをゼラチンにするにも温度が高ければ高いほど、その作用は早くなるわけで、それが圧力鍋(120度になる)であるし、圧力鍋とは呼ばないもっと高い圧力の鍋だともっと早く出来るとのこと。

でも圧力鍋だと肉の繊維が固くなるというのも常識なんですよね。温度が高すぎる。

だから蒸す方が良いとか、スロークックという発想が出てくるわけで、温度を高くせずに、その代わり長時間調理することで同じような効果を得ようという考え方でしょう。ですから、肉の繊維をさほど固くさせずにトロトロにすることが出来る。

ではその温度は?と調べても明確な答えがないんですね。スロークッカーでということだと、多くのスロークッカーは炊飯器の保温と同じ程度の温度で、「低」が70度。「高」が90度ぐらいのはず。つまり、70度ぐらいが適温なのだろうと考えることはできます。スロークッカーは温度調節、切り替えができないのが普通。高低の表示はワット数(火力)の違いで、基本的にはいつか沸騰点まで達して、一定の温度をキープすることはできない。

これは肉が収縮して水分を出す温度を超えていますが、コラーゲンがゼラチンになる温度でもあるんですね。だから、肉は一度収縮して固くなるけれど、時間とともに柔らかくなるということになる。

ところがですねぇ、オーストラリアの豚肉は固いまんまなのね。これが問題。 (┰_┰)

以前、角煮に悪戦苦闘している頃、丸々一晩煮続けたことがありますが、出来上がりはパッサパサで固いバラ肉が無残な姿になっていただけでした。またローストビーフなどを作るにしても70度という温度は中途半端で、調理時間が短ければ生だし、長ければ火が入りすぎるのね。これは炊飯器の保温を使っても同じ。

繊維の結束は弱くてホロホロにすることは出来ても、繊維が固くなりすぎる。このジレンマに長らく苦しんでいたわけです。ですから70度よりも低い温度で長時間調理できればまた違うのでしょうが、そういう調理器具ってなかったわけです。

今は50度でも60度でも68度でも設定した温度を12時間でも維持できますが、さて、その実験をするに辺り、どの温度にするべきかがまるでわかりませんでした。

そんな時に、プロの理論を発見しました。

肉を柔らかくする方法  ← クリック

この方法は

○ 熟成
○ 果物
○ 機械式軟化法
○ そして低温調理

とありまして、この低温調理の部分が「目から鱗」でした。

抜粋しますと、

ローストで行なわれる。普通のコンベクションオーブンでローストビーフを調理する場合、180℃で調理される。しかし、低温調理では120℃で調理され、肉中温度が上がってきてから、55℃程度で数時間保温をする。この保温のことを「ホールディング」と言っているが、この温度と時間が肉を熟成させて柔らかくする。具体的な調理手順は、コンベクションオーブンでは、肉の大きさによって1〜3時間程度で調理を終了する。しかし、低温調理では、例えば夜9時に調理を初め、最初に120℃で1〜3時間調理し、肉中温度が40〜45℃になった後、55℃にオーブンの温度を落とし、そのまま翌朝までホールディングをしておく。12時から翌朝9時までだと9時間のホールディングになるが、この1時間が冷蔵庫の自然熟成の2日間に相当することになるのである。9時間のホールディングならば、9X2で、18日間の自然熟成の効果になるのである。調理時間はかかるのだが、深夜に無人で調理できるので、コストはかからない。さらに、歩留りもいい。低温調理の代表的なオーブンには「ハローヒートオーブン」がある。

コンベクションオーブンだと、2割位は調理ロスで無くなってしまうが、低温調理だと1割程度で済む。ここ数年の間にコンベクションとスチーマーが一緒になった「コンベクションスチーマー」が急速に普及しているが、これだとスチーム(蒸気)を使いながら調理できるので、しっとりと、ジューシーに出来る。

この場合は、湯煎ではなくてロースト、つまりオーブンを想定していますが、この温度のところにはびっくりです。な、な、なんと55度を長時間、それも9時間という長い時間保持しろと。まさにホールディングですが、もっとびっくりしたことは、この1時間が冷蔵庫の自然熟成の二日間に相当するという部分。

ホントですかねぇ。(笑)

9時間の55度でのホールディングは18日間の冷蔵庫における自然熟成と同等だというんですから。

低温調理と言っても、肉を55度で調理するという概念は私にはなくて、最低でも58度は必要だろうと思っていました。その理由は簡単で、その温度以下だと真っ赤っ赤のままですし、また細菌の繁殖の怖さもあるから。

ただ調べてみますと、55度でもそれだけの時間を維持すると殺菌効果はあるんですね。

私は生肉が好きで、ユッケも食べますし、牛のタタキも好きですが、それって火を通していない、あるいは一部分火を通しただけの生状態、つまり未調理と同じであって、ここで言う真っ赤っ赤の生みたいだけれど、実は55度で長時間ホールディングし調理済みという感覚は理解の外です。というか、これを調理と考えるべきではなくて、下処理みたいに考えれば良いんでしょうね。

温度と調理時間の関係って私には良くわからなくて、例えば脂は46度で溶けると言っても、では50度ぐらいで調理してどのくらい溶けるかというとほとんど溶けないんですね。温度を上げれば上げるほど、脂は良く溶ける。

でも長い時間保持すれば、それと同じ効果があるってことなんでしょうね。

ということで、55度で12時間に挑戦してみます。 (笑)

それの出来上がりが生みたいだとしても、それを素材として次の調理をすれば良いわけですから、試してみる価値は大有り。

またこのページに書いてあることって私にとってはびっくりすることばかりで、例えばパイナップルがタンパク質の結束を緩くする作用があるのは知っていましたが、パイナップル汁に漬けて2,3日も放置すると肉がドロドロになるなんて想像したこともありませんでした。でもこれも面白いですよね。ドロドロ一歩手前で角煮を作ったらどうなるかなんて是非試してみたいです。

また、ナイフで肉の繊維を切ったり、竹串でグサグサやったことはありますが、生花で使う剣山みたいなものでグサグサやったことはありません。でも調べてみると、プロの世界では結構普通に使われているみたいで、肉は柔らかくなるし、味も染み込み、調理時間も短くて済むとのことですので、これも実験してみようと思いました。(肉汁や旨味は出てしまうんでしょうが)

そもそもオーストラリアの牛肉がそうであるように、素材に希望を持って探すより、手に入る物をあの手この手でどうにかすることを考えるべきなんでしょうね。やっとそう考えることが出来るようになりました。(笑)

考えてみれば、スーパーでも肉屋でも鶏肉専門店でも必ず置いてあるのがシュニッツェルなんですね。本来は子牛のはずですが、こちらではありとあらゆる肉で作られている。つまり、肉を叩いて薄く伸ばして衣を付けてあるやつ。叩いて伸ばしただけの肉も売っているし、それらを見て、オーストラリアの肉とはそもそもどういう肉なのかピンと来なかった私がアホってことなんでしょう。(叩いて繊維を潰して伸ばせば肉汁や旨味は間違いなく出やすくなるわけですが、それは気にしないんでしょうね。でもそれを受け止めるのが衣という考え方なのか)(煮物には良いかも)

また食品衛生上の観点から調理温度や時間をどう考えるべきかに関しては、参考になるサイトも見つけました。結局、ネットの中でプロが推奨する料理方法って、この決まりから逸脱することはあり得ないんでしょうね。法律で定められたものがあるんですから。でも我々としてはそれを常識として捉えると面白くもなんともないわけで、もっと自由な発想でいろいろやってみたいと思います。ただメチャクチャだと困るわけで、日本国内では非常識でも海外では常識みたいなこともある(鮭の低温調理を43-48度でするとか)わけで、やっぱりその範疇からは出ないようにやろうと思いました。

食品、添加物等の規格基準 (厚生省告示) ← クリック

ちなみに、鮭を48度で低温調理する動画。これって生のママみたいだけれど美味しそう。やってみます。

(後記)スロークッカーは低温調理機としてはまるで使えないというのが2014年9月になってやっとわかりました。誤解があったようです

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