マネー氾濫

2013年9月29日のNHKスペシャル「マネー氾濫~世界経済に異変~」の動画がネットにありました。これ面白いと思います。世界の構造が変わったのが良くわかる。

私はこういう風に世界が変わったのが良いのか悪いのかは置いといて、こういう状態になっているというのをしっかり認識する必要があるし、今までの投資の考え方が通用しない世界に入ったと思うのです。

ヘッジファンドが力をつけているのもそれが理由で、リーマンショック後、ヘッジファンド規制の方向へ世界が動くように見えましたが、何のことは無い元に戻ってしまった。というかヘッジファンドのやり方が常態化したように思うのです。

つまり、儲けのネタがあるところには莫大な金が一気に流れ、またそれもちょっとした切っ掛けで大きく流れが変わるということ。これは地理的にも業種、セクター、個別企業でも同じだと思います。そして今まで以上に為替の動きが実体経済にそぐわなくなってくる。というか、莫大な金の動きがまさに経済を決定するということでしょう。

これの問題は、その動きのスピードが早いということ。また彼らは非常に短期的な見方で利益を追うことだと思います。相場を動かす一番の要因は欲望と恐怖ですが、まさにそれに世界経済の動きが左右される。

要は動きが仕手株の様になってきたということだと思うのです。

仕手株というのがどういうものであるのか、若い方や投資暦の浅い方にはピンと来ないかもしれませんが、簡単に言えば、実体とは違う思惑で、力関係のみで値が大きく動くといえば良いんじゃないでしょうか。

ですから投資の王道といわれてきた考え方がそのまま通じる世界じゃないということ。ま、それは今更始まったことじゃないですが、その動きが増えていると感じます。

かと言って仕手株の一つの動きとして、ろくでもないものを買い上げて空売りを呼び込むというような特色がありますが、まぁ、その詐欺のような動きが増えるというのじゃなくて、話題を作り上げて提灯筋を呼び込む動きが活発になると私は考えています。

こんなことで左右される企業や国はとんでもないことになりますが、もしかすると投資家サイドに立って考えるとさほど難しい時代になったとも思えないんです。つまり、短期間に動く対象は見やすくなって、それに飛び乗り飛び降り戦法が今まで以上に有効になると見ています。仕手筋、そしてそれに連れられて動く提灯筋の存在が非常に大きいと考えることができるわけですから。

でもこの動画に出ているように、ターゲットになった国や企業は大変なことになるというのは間違いがなさそうで、金が集まれば良いってもんじゃなくて、その金を使って下手に投資を増やすとまさにこの動画に出てくるような状態になる可能性が高いということ。地道にものづくりに励んでいれば良いという時代はとっくに終わったと思うのですが、その動きが益々助長されるのでしょう。

これは働く側もうまくなくて、良い会社とは何か?の根本を考え直す必要が出てきますよね。この近年の動きを見ていてもわかるように、優良企業が突然凋落するというのが、技術的なもの、また販売力とはまた違う原因で起きてしまう。いわゆるファイナンスの部分をうまくつかえない、決定が出来ない、遅いことが凋落に直結してしまう。

私の少ない人生経験の中でも二度だけですが乗っ取りを経験しました。莫大な金を持つ投資家、あるいは企業はその力を強引に使って、企業をあたかも一つの商品の様に買ったり、また売ったりする。一生懸命やっていたときに、ある日、わけのわからん若造(乗っ取り屋の手下)がやってきて、今日からこの会社の社長になりましたので宜しくと言われたときの驚きは今でも忘れません。

彼らの困るところは非常にアメリカ的というか短期間の視野しかなくて、長期的なものの考え方が欠落しているところだと思いました。また人材を育てるという考え方も希薄で、非採算部門は簡単に切り落とす。こういう連中が金にものを言わせて世界中を駆け巡る時代になってしまった。昔なら悪党と言われた連中が「普通」な時代になったと私は感じます。

でも投資家サイドの見方をすると、彼らの動きに乗るという手法が誰にでも出来るような時代になったともいえる。悪党に投資する、悪党の動きに合わせるのが簡単にできてしまう。

彼らを悪党と呼ぶとその動きに乗るのは気が引けますが、そこに拘ると生きていけない時代だと思います。悪党は悪党じゃなくて、いつかそれが普通になってきたのですから。

そもそも株の空売りや先物のショートにしても、かつては非国民扱いされたんですね。多くの一般投資家は株は買うものという信仰に近いものを持たされていて、株の信用取引をするなんてのは胡散臭い奴と思われた時代もあった。でもそれってカモがうまい具合に騙されていたのと同じで、ボクシングを片手でやっていたのと同じ。でも今では右肩上がりの成長を知らない年代が増えてきて、買いも売りも同じくできる若い投資家が増えてきたのは良いことだと私は思っています。FXもそういう考え方が出来るようになる良い商品だと思います。ドル円で言えば、ドルの買いは円の売りであるわけで、買いと売りは全く同等であるのがわかる。

どちらにしてもスピードが要求されるのは間違いが無いと思っていまして、(まともな?)長期投資は益々難しくなるはず。でも利を求めて動き回る巨大なマネーも何も無いところには向きませんし、その動きは今まで以上にはっきり見えるようになったのですから、彼らの動きに提灯をつけるのは戦法としてかなり有効な時代になったのではないでしょうか。でも潮が引くのも早くなるんでしょう。

ただ仕手株に全力投球するのは博打うちでしかないと思いますし、また(まともな?)長期投資がなくなるわけでもありませんから、長期投資に関しては安全重視、そして中短期投資で利を伸ばしていくという戦略が有効になると私は考えます。つまり(私はやらない)不動産投資にしても、長期的に見るという今までの考え方ではなくて、バブルに乗る戦略が有効であろうと。当然、飛び降りる時期をしっかり見なくてはならないのでしょう。

ま、嫌な時代になったような気がしないでもありませんが、頭を切り替えて、これが普通であると思えば(過去を知らない若者の方が有利)、面白い戦略はいろいろあるように感じます。

で、こういう時代で一番注意しないとならないのは、評論家とかエコノミストの話。彼らは誰の味方か?誰かの言いたいことを代弁しているだけでは無いか?この辺を疑うのが非常に重要であるように感じます。この十年程度は結構しっかり見ていたつもりですが、彼らは自分に有利なように投資家を誘導する傾向があると思っています。私が近年感じているのは、たとえばゴールドマンサックス。全く彼らの言うことは信用できなくて、彼らが「XXXX円目標」と言い出したときには彼らが売り逃げる時であると思ったことが何度かありました。大手だからこそ信用できない。

では何を信じれば良いのか?

そもそも宗教じゃないんですから信じる信じないという考え方がおかしいわけで、事実だけを見ていけばよいというのが私の主張。事実とは?それは過去と現在の値動き。つまりチャート。そこには市場参加者の思惑、力関係、値動きのベクトル、加速度、それらがはっきりわかるわけで、誰の説明以上に現在はどうなっているのかが見える。これのみが現実だと私は思うわけです。で、そこから近未来が見えてくる。それで十分じゃないでしょうか。

ただ値動きからではわからないことが一つだけある。それはなぜそういう風に動いているかの理由。(笑)

この理由(ファンダメンタルズ)を知りたい。またそれがわからないと投資はできないという誰しもが持つ信仰が投資における一番の間違いだと思っています。クネクネと流れる川を見て、どうしてこういう風に流れるのか理由を考える必要無し。そうじゃなくて、どうやったらその流れに乗れるのかそれのみに集中すれば答えはあると思っています。我々素人はプロの様になぜそうするのかの説明責任は無いんですから。また他人に納得してもらう必要もないし、こうするべきと説得する必要も無いんですから。だから理由(ファンダメンタルズ)を探す必要なし。

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マネー氾濫” への2件のコメント

  1. SECRET: 0
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    ダボさん

    GCからいつも薀蓄のある情報発信ありがとうございます。日本人が海外にいて、世界の金融情勢を見ていると、井の中の蛙とは違う見方がいろいろできて大変面白い分析になっていると思います。

    私は基本的にはリベラルな考え方の方が好きですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の故事の通り、なんでも行過ぎると将来に禍根を残すことになるから、常々中庸が大切だと考えています。しかし、昨今のTV論調をみていると金融資本主義の終焉を扱ったテーマが多いように思います。それも極端な考え方だと思いますが、一方でそれだけ市場に警戒感も出てきている証左なのかも知れません。

    こうした状況を逆手にとって、絶好の投資チャンスと捉える投資手法もあって不思議はないと思いますが、嘗て学んだG-→G’の取引では付加価値を産むことはない、の教えが身に染みこんでいるせいか、いつかバブルが弾けるのではないか、なかなか相場に乗り切れないのが本音のところです。

    そこでファンダメンタルズ投資は後講釈では成立するが、変化の早い現在の市場環境ではなかなか難しいということであれば、我々中高年は何をメルクマールに投資したらよいか、いわゆる中庸な取引手法というのはあるのか、ご教示いただけると大変幸いです、なんちゃって今日はちょっと難しい質問をさせていただきました。

  2. SECRET: 0
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    yasashiさん

    巷では金融資本主義の終焉が言われているんですか?

    私にはその辺の情報がまるで入ってきませんしわからないのですが、私としては終焉どころか本格的な金融資本主義、超金融資本主義と言っても良い様な時代に突入したと考えています。マネーゲームという言葉が出てきてから随分たちますが、これからがその本番だろうと見ています。

    まさに仕手株だらけの世の中で中高年がどう生きるか、あるいは中庸な投資手法があるかとなれば、その答えは「かなり難しい」ということになると思います。中高年には経験と知識がありますが、私はそれこそが邪魔になるのではないかと思うぐらい。ましてや中庸を欲するというのは戦いが激化する中で、怪我もせずにそこそこ儲ける手立てはないものかという虫の良い考え方でもあるわけで、それが出来れば誰も苦労しないということになるんでしょう。

    私だって楽をしたい、冒険はしたくない、でもそこそこ利益が欲しいと歳を取れば取るほどそう思うようになりますが、そう思った時は戦線離脱するべき時なのではないかというのはいつも書いていることからわかると思います。

    それどころか、戦線離脱して完全な守りに入ったにしても、ではどうやったら守れるのか、それさえも難しいのが現実じゃないですか?

    私は昔から「攻撃は最大の防御」という考え方を持っていますし、攻撃を続けるしかないと思うのですが、ではどう攻撃するのかが時代と共に変わるわけで、それに自分も合わすしかないということをこの日記で書いたつもりです。

    ここで中庸に拘るとしたらそれはどうポートフォリオをどう組むのかということになるのかもしれませんね。でも個別の戦いの難しさは増しているわけで、昔の様に優良企業の株を買って寝かしておくとか、郵便局の養老保険にでも入れておけば良いとか、そういう時代じゃないと思っています。

    どちらにしても世の中の変化、傾向を自分の中に取り入れて、先手必勝で攻めていくしかないと思っています。で、近年は動くマネーが大きく、その方向性はある意味、昔より見やすい部分もあるような気がするのは日記に書いた通りで、大河の流れを見て素直についていくのが良さそうに感じます。でもその大河の流れもすぐに変わるので、昔の感覚で長期投資を考えるとかなり難しいだろうと思うってことです。これからはBRICSだとか東南アジアだとかそういう考え方じゃなくて、投資そのものの基本的な考え方を変えることが出来ないと勝ち残れないと考えています。

    また私としてはバブルという言葉を自分の中から消そうと思っています。バブルとは本来あるべき状態ではなく異常事態で、中身も無く、いつかはじけるものだという感覚を私は持っているのですが、そういう見方をしているとこれからの時代、何も出来ないかもしれない。バブルとは、サーファーにとって乗るべき波なのかもしれないと考えたほうがこれからの世の中はうまく行くように感じています。

    でもこういう形で世界が進んで行くと、資本主義の終焉、そして世界大戦争という方向へ行く可能性すらあると思っています。私は新自由主義とはそういうものであって、人類が進むべき道だとは思っていないのですが、そちらの方向へ進んでいるようにしか見えません。そしてまた国家主義とか保護主義が台頭する時代になるのかもしれませんね。歴史はきっと繰り返すのだろうと思っています。

    ただ日記にも書いたように、現代は下げでも利益を出せる。景気後退、あるいは企業や国そのものが破綻する場合でも利益を出す方法があるんですね。これを誰でも利用できる時代ですから、当然、自分の戦法としてそれを取り込まないとなら無いし、年寄りには感覚的に理解が難しい「売り続ける長期投資」も真剣に考えるべきだと思います。これは大手の機関投資家には出来得ない戦法で、個人ならではの自由自在な手法を使えるようになる必要もあるのでしょう。

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