日本人が持っている不思議なもの「情」

この数日、面白いサイトを見つけて読みふけっています。

岡潔(おか きよし)という数学家が晩年言い続けていた「情」に関してまとめたサイトなんですが、これを読んで今まで感じていた疑問が結構解けて来たのを感じます。

って思想の話ですから、そういうのが嫌いな方はここでパスしてくださいね。

岡潔を知ったのは、ちょっと変わった主張をする物理学者のブログなんですが、この物理学者も変わっていて、というか間違いなく変人の部類で、世の中の謀略論を信じている人。あの東北大震災や原発事故も人工(原爆によるもの)だとか、いわゆるイルミナティの世界征服とか、アラスカにあるアメリカのHAARPは地震発生装置だとか、まぁ、ベンジャミンフルフォード氏みたいに目つきもおかしくなってきた○印よりまともですが、世間一般的に見たら間違いなく○印のタイプ。でも私はこの人のいう言葉の中に真実があると思うことが多いし、納得することも少なくないんです。ま、私も○印の内だからなんでしょうが。

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彼のブログにたまに登場する岡潔という物理学者の話をちょっと真剣に読んでみたんです。で、どんどん引き込まれました。

岡潔とは? ウィキペディア  ← クリック

彼の思想をまとめたサイト 数学者岡潔思想研究会 ← クリック

若い頃に太宰治にはまって、それから歌じゃないですがデカンショ(デカルト カント ショーペンハウウェル)に没頭したなんて青春時代を過ごした方は少なくないと思うのですが、私もその口。でもどうも太宰のナルシストぶりが気になったり、西洋哲学がピンと来ないとか(私はニーチェが好きでしたが)、それから宗教を勉強したりとかするケースが多いと思うのですが、何かが違う、何か変だと私は思い続けてきました。

またそういうこととは関係なく、海外に出てからは、どうして外人と自分とこうも話が合わないのか、通じないのかと思うことが非常に多いんです。これはずーっと自分の語学力に問題があるからだと信じて来ましたが、ある日、フト気がついたんです。これは語学の問題じゃなくて、心のヒダヒダが違うんだと。通じるわけが無いんですね。

一体、哲学や宗教が自分にピンと来ないのはなんなんだ、外人と自分の違いってなんなんだと私は長らく思い続けてきたんですよ。きっと自分はどこかのネジがゆるんでいるのか、何かが足りないんだろうぐらいに思ってきました。

でもこの岡潔の話を読んで、これだ!と思ったんです。

私が大事にしたいと思ってきたもの、もっと深く知りたいと思ってきたものは「情」であると。

岡潔曰く、これが理解できるのは日本人のみだと言うんです。

私は日本人として誇りみたいなものを持っていますが、選民意識とか、日本を美化したり、自画自賛、そういうのが好きではありません。というかそれを否定することが普通にできるのも私は日本人の特徴だと思ってるくらいです。

民度という言葉も気になる言葉で、確かに民度の違いは存在するとは思いますが、「日本人の民度は高い」という前提で話をするのは好きではありません。これってまさに選民意識が根底にあるわけで、自画自賛をして喜ぶほどバカにはなりたくないといつも思うわけです。

でも、違いがあるのは確か。ではその違いはなんなのか。

その答えが「情」であると岡潔は結論付けています。

外国にはこれが無いそうで、でも決して感情がないとか、情が薄いとかそういう意味での「情」ではなくて、価値観の順序とでも言うべきなのでしょうか、この辺の説明は私もうまくできないのですが、ただ日本人にはこの「情」による判断基準を持っていて、それが実は非常に大事な根源的なものであると岡は言っているように感じます。

海外で重要視されるのは「知」であると言います。この言い方に私はドキっとしまして、私が西洋哲学も何かピンと来ないのはこれが原因であるのがわかりました。また「知」はマニュアル化が可能で学ぶことが出来ると。でも「情」はそういう性質のものではないと。

彼はそういう順序として 「情」 「知」 「意」 が存在すると言います。「知」は多分「理」と言っていいものでしょうし、「意」とは「意思」だろうと思うのですが、何を大事にするのかという点で、それが「情」なのか「知」なのか「意」なのかで随分中身が違ってくることは良くわかります。そして人間によってあるいは文化によって大事だとされるものが違うという事実がある。

日本が堕落したといわれるのは西洋の真似ばかりして「知」を重視した結果であり、また韓国は「儒教」の国ですが、儒教の問題点も彼は指摘しています。それはあえてここに書かないことにしますが、それには私も納得する部分があります。

彼はこういう言い方もしています。

「自覚するといえば情の目で見極めること。知や意では自覚できない。大体、「知、知」と知を大事にする。中国人もそうだし、印度人もそうだし、西洋人だってそうです。今の教育なんかもそうだけど、知ということについて少し深く考えてみた人、あるだろうか。私はないだろうと思う。

知の働きは「わかる」ということですが、そのわかるという面に対して、今の日本人は大抵「理解」するという。ところが、わかるということの一番初歩的なことは、松が松とわかり、竹が竹とわかることでしょう。松が松とわかり、竹が竹とわかるのは一体、理解ですか。全然、理解じゃないでしょう。

理解というのは、その「理ことわり」がわかる。ところが、松が松とわかり、竹が竹とわかるのは理がわかるんではないでしょう。何がわかるのかというと、その「趣おもむき」がわかるんでしょう。

松は松の趣をしているから松、竹は竹の趣をしているから竹とわかるんでしょう。趣というのは情の世界のものです。だから、わかるのは最初情的にわかる。情的にわかるから言葉というものが有り得た、形式というものが有り得た。

それから先が知ですが、その基になる情でわかるということがなかったら、一切が存在しない。人は情の中に住んでいる。あなた方は今ひとつの情の状態の中にいる。その状態は言葉ではいえない。いえないけれども、こんな風な情の状態だということは銘々わかっている。

言葉ではいえない。教えられたものでもない。しかし、わかっている。これがわかるということです。だから知の根底は情にある。知というものも、その根底まで遡ると情の働きです。」

納得~~って感じがしませんか?またこの言い方って仏教思想に似てますが、岡潔はその理由は「情」にあるというところが面白いと思うし、私にはその考え方がすんなり自分の中に入って来ます。まさに「知」じゃなくて私の「情」が反応しているのでしょう。

日本人ってなんでも「道」にするのが好きですが、私もそれで、このブログでも相場のことを良く書きますが、これは「知識」や「技術」ではなくて「相場道」みたいなものがあると私は何度か書いたことがあります。知識や技術を通して何を知るか?じゃなくて、知識や技術の前に大事なことがあるということだと思うんです。それなくして知識も技術も生きないと。結局、その根源がわからないと何も知らないのと同じことなんですね。

偉そうなことを書くつもりはありませんが、日本人の特質として常にそこにある根源的なものが気になる性質があるんじゃないんでしょうか。そしてそれは「情」で初めて理解できるものであって、頭脳では無理。心技一体という言葉がありますが、それを真に理解できるのは日本人ぐらいなものなのかもしれないし、何か不思議なものがあると気が付いた外人が日本文化に惹かれるのもそれかもしれないと思っています。

以前、外人と捕鯨に関して話をするのが結構好きだったんですが、どうも彼らの主張がピンと来ないんです。これは書籍を読んでも同じで、非常に単純というか、屁理屈というか、納得できる話じゃない。何かが足りない。これは欧米人に結構多いベジタリアンもそうで、なぜ?と聞いてみると本来アジアに存在するベジタリアンとはほど遠い考え方が基本なのね(平気で根菜類を食べるとか)。でも彼らは非常に良いことをしていると自画自賛する。こういう差ってなんだろうと常に私は考えていたんだけれど、それが岡潔の言う「情」なんだろうと思いました。これは「可哀想だ」とかそういう意味の「情」ではなくて、根源的なものを感じ取る「情」と岡が呼んだ何か才能みたいなもののような気がします。

「いただきます」は命を頂くのだという説明する人は多くいますが、私はそうは思っていなくて、百歩譲ってそうだとしても重要な点は「命を頂くとはどういうことか?」という点だと思うわけです。悪なのか善なのか、「知」でそれを捉えようとすると善悪の話に行き着くはずですが、日本人の多くは善悪の先にあるものをそこに感じ取るんですね。そしてそれを大事にしようとする。この辺を欧米人に説明するのは私には出来ない。

ま、哲学にしても思想にしてもまともに勉強したことなんか無い私が何を言うか、といわれればそれまでのことですが、そんなアホな私でも岡潔の主張を聞いて、何十年も何かおかしい、何か違う、これって何でだろうと思い続けていた答えがここにあったということです。

それと一つ嬉しいと思いました。私達日本人は西洋に追いつけ追い越せと長年頑張って来ましたが、私達は彼らがどれだけ頑張っても簡単には手に入れられないものを持っているということを確信したから。

これが日本文化の美にも繋がるし、東北大震災で世界で絶賛された民度の根底にあるものだと思うんです。

そしてTPPなんかちゃんちゃらおかしい、バカな条約だと思うのも日本人ならではかもしれません(笑)。そもそも新自由主義なんて日本人から言わせたら「知」の暴走でしかないんですね。もしかしたら日本が築き上げた年功序列、終身雇用、そして今でも悪の根源みたいに言われる「談合」も、日本の「情」が根底にあるような気が私にはするし、それがあったから国民皆中流階級も達成できたような気がするのです。

バブルが崩壊し、その後益々アメリカからの要求によってアメリカがグローバル化と言うアメリカ化が進んで日本の価値観が「情」から「知」に移ってしまった。これは「情」を理解できない西洋人、あるいは西洋かぶれにとっては進歩かもしれませんが、私には日本文化の崩壊にしか思えないのです。

バブル、そしてそれの崩壊、またそれの立ち直りが遅れた原因は日本の古臭い伝統があったからではなく、他に問題があったのだろうと私は思うのです。でも駄目なんだからアメリカ流でやってみようと言う意見に押された。これが小泉改革であり、今でも政府の中に入り込んで頑張っている竹中氏の思想だと思っています。新自由主義なんてのは私に言わせると「知」しかわからない連中の欺瞞にしか思えないのです。なんでも市場原理に任せれば落ち着くところに落ち着くなんて、価値観が完全に欠落している思想にしか思えません。例えば、乗っている船が沈没するけれど、乗客は100人。救命ボートに乗れるのは20人。さてどうするか?自由競争に任せようというのが新自由主義の考え方に思えるのです。救命ボートに乗れない連中はそれなりに逃げる手を考え出すはずだと。競争によって技術革新が起きる?私が思う日本の良さはどうにか100人が助かる手を編み出す力だと思っています。それを求める考え方の根底にあるのが「情」であって決して「知」ではない。でも今の日本は「知」が支配する世界へ向かっている。

また新自由主義に固まったアメリカを見て、ああいう幸せな国になりたいと思う日本かどうか。ここが重要な点だと思うんです。貧困と格差に何世紀も悩んだ国がアメリカの様にと夢を見るのならアメリカの様にやればいいのでしょう。でも私が思うのは、日本がアメリカ流に変えると言うことは進歩ではなくて後退であるということなんです。TPPはそういう意味で原爆よりも被害が大きいように思います。

岡潔の講演記録などを読んで、私は自分が感じていた世界との違いが「情」によるものだと理解できたし、そしてそれは自画自賛といわれたくはないけれど「知」より大事なものであり、これからも日本が大事にしていかなくてはならないものだと確信が持てたのは大きな収穫だったと思います。

何十年も、この違和感と言うか感覚って何だろうと思っていた答えがこんなところにあったなんて、不思議というか面白いと言うか、馬鹿みたいだと言いたくなるような感じです。(笑)

興味がある方は是非、岡潔のサイトを見てください。宗教好きで神様の存在を信じている私ですが、既存の宗教団体には属していません。でも何か宗教を越えるものさえここに何かがあるような気さえしています。今後は日本独特の宗教である神道と、岡潔の言うこととどういう繋がりがあるのか、また「情」が日本で育った歴史的背景みたいなものも知りたいと思っています。

「理外の理」という言葉がありますが、この「情」がそれに当たるのだろうと思うようになりました。現代に育った私としてはどうしても「理」や「知」、「論理」と言ってもいいでしょうがそれを重要視するのが当たり前だと考えて来ました。それの対極あるのが「感情」で「感情」とは理屈無しに暴走するものだと思ってました。でもその感情の中に大事な「情」が存在する。でも感情=情ではない。

人類は何百年も掛けて「理」や「知」を育てて来ましたが、では「理」や「知」が育っていなかった古代の人間はバカだったのか。不幸だったのか。決してそんなことは無いはずで「情」はちゃんと存在して、逆に「理」や「知」に惑わされることが無い幸せな時代だったかもしれない。これは未来を見る場合にも重要だと思うわけで、「理」と「知」をどんどん大きくしてもそこに幸せは無いというのが本能的にわかるところが面白いと思います。

「理」や「知」で物事を「理解」しようとするのではなくて、「情」で感じ取ることの重要性があるのを感じます。で、それがうまいのは男性じゃなくて女性かな。「こんな簡単な理屈がわからないのか!」って女性に思うことは多いのだけれど、彼女達の「理外の理」が結局は正しかったなんてこの歳になると思うことも多くて、実は世界の中心は女性であって、男性はそれを助けるオマケみたいな気もしてきます。

イブはアダムから生まれたという考え方に、「理」や「知」を重要視する欧米の根源的なものが隠されているような気がしないでもないです。

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