2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅というSFをお読みになった、あるいは映画で見た方は多いと思います。私は本は読んでいませんが、映画は好きで5,6回見たと思います。

で、これを書いたのがアーサークラークというイギリス人。SF界の大御所。

私の人生に影響を与えた人、物、場所の中でこのアーサークラークも忘れられない人のうちの一人です。いや、この人が何を言った、それに感動したとかそういうことじゃなくて、昔、スリランカに何度か行ったことがあります。宝石の買い付けでした。そしてそのスリランカですが、当時、もう30年前ですか、経済的にはなんて貧しい国なんだろうと思いました。

スリランカの首都であるコロンボの観光をしていた時です。なんと周りの風景には似合わないそれはそれは大きなパラボラアンテナを見つけたんです。なんでこんなところにパラボラアンテナがあるのか聞いたところ、それがそのアーサークラークの住まいだったんです。

アーサークラークといえばSFの大御所。超有名人でしたが、なんでその人がここに住んでいるんだ?とかなり違和感を感じたものです。NYかロンドンにでも住んでいるのかと思っていましたから。

そして彼はこのコロンボの自宅で執筆活動を続けているとのこと。

頭をかなづちで叩かれたような気がしましたっけ。

当時私はまだ20代でしたが、すでに小さな事業で儲けたり、失敗して裸になったりを数度繰り返し、食いっぱぐれていた私を拾ってくれた宝石卸業の会社でサラリーマンをやっている頃でした。もちろんそこで一生を過ごそうなんてことは考えず、どうやって再びのし上がれば良いのか、常にそれを考えていました。

で、スリランカ。経済的な魅力は無いけれど、仏教の国で人々は温和だし、いわゆる今で言う長期滞在するには面白い場所だとは思いました。ところが、これからのし上がろうとする若者が住むところではないと思ってました。ところがそこにSF界の大御所。半端でない大金持ちがそこに住み、そしてそこで「稼いでいる」という事実を見たわけです。

「これ、これ、これなんだよなぁ。」と思いました。

自分は宝石の買い付けでスリランカへ来ているけれど、甘いものに集まる蜂とでも言いましょうか。つまり、利益を求めてあちこち動き回り、安く仕入れて高く売る。いかに付加価値をつけるか、どんな値付けでどういう風に売ればお客は満足してくれるのか、そんなことを毎日毎日朝から晩まで考えている生活を送っていたわけですが、なんか、違う、これじゃ駄目だと、アーサークラークの大きなパラボラを見て思ったんです。

私の学生時代はすでに学生運動が下火にはなりつつあるものの、大学にはバリケードがあり、ヘルメットをかぶった学生がいた時代ですが、私自身はノンポリで政治には全く興味が無く、どんな時代、どんな世の中になってもそこで生き抜いていくという考え方でした。学生時代に起業したのは前に書いたと思いますが、世の中がどうなろうと自分がいかに生き抜くかということにしか興味がありませんでした。で、それなりに頑張った。でも良かったり悪かったり、20代のガキが簡単に儲けられる世界じゃありませんでした。でもそれを続けるしかなかった。

ところがアーサークラークのその大きなパラボラを見て、こりゃ、自分が進む道は違う、と気が付いたんです。

何のために稼ぐのか?それは私にとっては食うためではなくて、自由を得るためでした。でも私がやっていたことは、物、人、場所に常に左右され、自分の延長線上の将来に自由は無いと気が付いたのです。

いつの世も、どんな場所でも食っていけるアーサークラークみたいになりたいと思いました。まず場所から開放される自分であろうと思いました。つまり世界のどこに行っても食える自分でありたいと。東京じゃないと食えないから東京に住み、働くという自分から解放されたかった。

その頃はすでにグアムと仕事の関係もありましたが、仕事内容がその土地に縛られることには変わりはなく、仕事の拠点や営業所、店舗が海外だろうと違う土地だろうと、結局その地に縛られることに代わりはないという当たり前のことに気が付いたんです。それって、単に目黒の事務所を渋谷に移したのと同じこと。で、これは私が望むものじゃないって事をはっきり認識しました。

たとえハワイだろうとニューヨーク、香港だろうと、北海道だろうが沖縄だろうがどこだろうと行きたい、住みたいと思ったらそこへ渡り、住み、そして当然そこで稼ぎ、食える自分でありたいと思いました。アーサークラークはまさにそうやって生きていたわけで、これが出来ずに自由は無いと思いました。

この時、自分で大きな舵を切ったと思います。自分の将来の行くべき道を変更しました。でもアーサークラークみたいな執筆業は自分には出来ないし、どうすればいいのか。世界中どこに行っても食える仕事ってなんなのか、その時からそればかり考えるようになりました。

ま、それからまたいろいろあるわけですが、今、私が家族と共にゴールドコーストに住んでいること。そしてまたマレーシアへ行こうかと言える状態であるというのは、あの時に生き方を変えようと思った延長線上にあるってことです。決して退職者だからじゃないんです。というか、私は自分は退職者だと言った方が通じやすい、私の状態を説明するのがややこしい、面倒だと思うから退職者ですと言うだけのことで、実際にはまだまだ現役。いや、やめたくてもやめられないと思います。今は減益みたいな感じですが・・・(笑)

あの青い広大な空に向かって大きく開いたアーサークラークのパラボラアンテナ。自由な空へ向かって大きく手を広げて神々しささえ感じました。まぶしく見えました。あの時あれを見なかったら今の私はなかったかもしれません。

そんなことをフト、思い出しました。

でも今になって思うことは、自由を追い求める生き方も変だったんじゃないかということ。結局自由そのものが目的になっていて、では自由になって何をするのかという大事なところが欠落していたように感じます。それって金亡者が金を追い求めるのと同じで、金は手段であっても決して目的にはなりえない。自由もそれと同じだと思うんです。

自由ではあったものの、それと引き換えにして失ったものもあるし、こういう生き方がよかったとは思えません。自由だなんだと言う前に、天職なるものを見つけてそれに邁進できる自分でありたかった。そんなことを思います。

だから私には「ご褒美人生」なんてないわけで、今までやりたいことばかりやってきたことに対する反省の日々が待っているのかも。(笑)

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2001年宇宙の旅” への2件のコメント

  1. SECRET: 0
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    daboさん、共感します。
    スリランカでアーサークラークのパラボラアンテナ見てはっと気づいたのが20代というのが素晴らしいですね。それから生き方がぶれないdaboさんがまたまた素晴らしい。

    それにしても周りの人にいちいち今の自分の状況説明するのってホント面倒くさいですね^^。みんな価値観違うし、周り全員理解してもらわなくても(納得)してもらいやすいレベルの共通項が退職者という括りですね。
    私も学生の時、父が働きにも行かず朝から晩まで家に居るのに何でご飯食べれるのか理解出来なかった^^

    閉塞感のあるこの時代に生きている娘や若い人にもdaboさんみたいなスリランカで味わったこういう早い時点での気づきの感覚を味わってもらいたい

    私はいつも自分の記憶力や頭の悪さや無知さ加減と戦ってますが、その事に気づいて1つずつ対処していく瞬間に開放された気分になります^^

    でもdaboさんは退職者どころか一生頭使わないといけない現役になっちゃいましたね。
    自由も大変だ

  2. SECRET: 0
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    どうなったら良いってのもそれぞれで何が良いんだかわかりませんね。私も自分の生き方が良かったなんて全然思ってなくて、やり直せるなら違う人生を歩むだろうし。

    でもま、思ったことをやるしかないんでしょうね。

    閉塞感って言葉が世の中蔓延してますが、では閉塞感がない時代なんてあるのかと思うんですよ。私は常に閉塞感を感じて生きてきましたから、夢と希望にあふれて頑張ろうという姿の方が不思議に思えます。って、そもそもそういうハイの状態ってリスクもまともに見えていなくて浮き足立っているだけとしか思えません。

    閉塞感があるのが当たり前で、そこから出たいから人間って一歩歩き出すんだろうと思うんです。今の若者は仕事が無くても親に食わせてもらえるから閉塞感があるようで無いんだろうと思う。何もしないで食えれば何もしないのが人間だし、好きな仕事に従事できるのが当たり前だと思う方が夢見る夢子さんで常識はずれじゃないんでしょうか。で、政府なり世の中のせいにして自分が悪いんじゃないと言い訳をいつまでも続ける。で、周りの人間もそうだそうだと言う。

    世の中うまくいくのが当たり前を前提にした考え方があるからそうなるんだろうと思うけれど、そこが私には理解できない点です。

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