和食の店が失敗する理由

ゴールドコーストに限らず、海外での和食店の経営はかなり難しいと思う。

先日、チャットで海外で板前をしている人と出会った。彼はもう何十年も海外に出ていて調理場に立っているのだけれど、自分の作らされる料理に不満があるのがすぐにわかった。

そして彼はいつか自分が昔食べた日本人の心である正統派日本料理を作り、儲からなくても良いからそういう店をオープンさせたいと熱弁を振るった。

これなんですねぇ。海外の和食店が失敗する理由は。

海外にいる日本人在住者はこれを聞くと、是非やってくれ!応援する!って必ず言います。海外にはそういう店は少ないですから。またそれを聞いた日本の日本人も、そうだろうねぇ、そういう店なら流行るだろうねと他人事だから簡単にいう。で、板前はでしょでしょ?と自信たっぷり。

でも私は全くそうは思わないです。

もしそういう良い店が成り立つのなら、それをしない今海外に出ている板前やなんちゃって和食を作っている店はみんなバカ、手抜きをしてるってことになるじゃないですか。

とんでもない。ちゃんとしたところでしっかり修行をした良い板前もたくさんいます。ではなぜろくでもない和食が多いのか?答えは簡単。そういう店じゃないとやっていけない。ただそれだけのことなんですね。

腕も夢もある板前がちゃんとした和食を出しても駄目なんですね。それの良さがわかるのはホンの一部の日本人だけで、ましてや凝った料理はコストが掛かりますから料金も上がる。そんな店に来る客がいるんでしょうか。日本人が来るでしょ?というかもしれないけれど、そういう店に通える裕福な日本人ってそうそうたくさん居ないんですね。いるとするならばそれは駐在員が多い都市。ゴールドコーストみたいにワーホリや永住者が多いところは駄目。うまい物を食べたいと皆口に出すけれど、その代わり高い金は出さない。もちろん通うことなんかない。だから良い店はあっと言う間に潰れちゃう。良い店ほど早く消えていく。

私は板前は料理人であって経営者じゃないというのを良く感じます。原価計算はちゃんとしても経営者ではない。つまり自分の腕を過信しすぎているといつも思うんです。良い物を出せば売れると信じている板前が多い。自分の腕を生かしたい料理を作ることばかり考えてる。

でも5年も居ればそんなことで店は繁盛しないのがわかるはずなんですが、わからない板前は結構居るんです。私はそれは板前の奢りだとも思うんです。もっと悪く言えば芸術家気取りとでも言いましょうか。

商売の基本は客を喜ばせることであって、自分が喜ぶ事じゃないんですね。それをわかってない人が多い。ってこれは食べ物商売に限らないか。自分の商品に惚れ込みすぎている人って結構居ますね。そりゃ店から客への提案は常にするべきだけれど、売れ筋を持っていない、客が来ない店じゃどうにもなりませんよねぇ。

ま、どうでもいい自己責任の世界ですが、あの板前さんも腕はいいのだろうから、是非観点を変えて頑張ってもらいたいと思いました。

数日前ゴールドコーストのいとしんという和食の店に行ったのですが、この店はきっとゴールドコーストで一番繁盛している和食店だと思います。客の9割がオーストラリア人で、数日前に行ったときには日本人はほとんどいませんでした。でも出しているのは和食。


いとしんの刺身。サーモン、ヒラマサ、ホタテ、鰺のたたき


いとしんの鴨ロース


いとしんの牛の叩き

オージーが喜ぶ和食をオージーが納得する料金で出しているってことなんですね。だから繁盛する。そしてこの店は量も多い。これはオージーが一番喜ぶポイントで、和食らしいちょこちょこっと出す料理はオージーは反射的に高いと感じてしまう。そういうことをこのいとしんのオーナーはしっかり見抜いてる。


いとしん鍋の具材の一部。二人前。

で、そうやって地元の客が一杯来るから店は成り立って、そこで初めて自分が出したかった日本の味なり、材料を使って日本人にアピールすることを考えれば良いんだろうと思います。

上に出した写真ですが、一番上の刺身以外は全ていとしん鍋のコースの一部。二人前でこの量。牛のたたきや鴨ロースは6,7品あるなかから選べる。写真には写っていませんが、鍋の具材としては野菜、ラー麺、などがあり、その他コースにはサラダ、ご飯、味噌汁、デザートまで付いてくる。私みたいな大食いでもお腹いっぱいになってフーフー言うくらいの量。これで繁盛しない方がおかしい。だからこそ日本人が好きな刺身も良い物を仕入れることが出来る。

チャットであったあの板前さん、あの考え方なら絶対に独立しない方が良いと思いました。でもこういう事って言えないのね。ちょっと遠回しに匂わせても、自分の夢に酔っている人の耳には届かない。本当に余計なお世話だと思うんですが、ちょっと冷静に考えればわかることなんですから。

夢を追う事って良いことだけれどそれだけで食うのは至難の業。でも頑張って欲しいと思いました。

終わりっ!

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和食の店が失敗する理由” への4件のコメント

  1. SECRET: 0
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    GCの場合、オージーをターゲットにしなければ経営は成り立ちませんよね。シドニーだと中国客がターゲットのジャパレス、韓国客がターゲットのジャパレスともっと細分化されていますが、明確にターゲットを定めてる店はどこも繁盛しています。

  2. SECRET: 0
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    BBさん、いらっしゃいませ。

    シドニーには中国人向け、韓国人向けのジャパレスがあるんですか?へーー。どんな店なのか是非行ってみたいです。

  3. SECRET: 0
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    日本でも同じですよ。中華でもフレンチでもイタリアンでも、「日本風」にアレンジされてなければ客は来ません。

  4. SECRET: 0
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    ミシュランさん、いらっしゃいませ。

    日本でも同じでしょうね。世界中でそれぞれの国出身の人達は本物じゃないと文句を言い、そうだそうだとその気になって料理人が本物の店を開くと繁盛しない。

    でも大都市はその傾向は薄いのが確かで、本物志向の人がたくさんいる都市は面白いですね。

    言いたいことを言って選べる側で良かったとつくづく思います。

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