別れ

友人が日本へ完全帰国するとのこと。

あ~~~あ。

この時期は異動の時期だけれど、そういうことではなくて永住者として20年以上オーストラリアに根を張って生きていた友人が引き上げるという話。

私の友達と言える人はもう本当に数えるぐらいしかいなくなってしまいました。

私たち家族が来たのは1991年。私は38歳、女房は32歳、長男は3歳、次男は1歳。その頃はオーストラリアへの移住が非常に多かった時期で、同じように子供を持っている若い家族も多かった。と共に、バブルがはじけたと言ってもゴールドコーストは日本企業がこぞって進出、投資をしている頃で、駐在員の家族も多かった。そして年齢層は上になるけれど、オーストラリアで老後を過ごそうと退職者ビザを取って渡ってくる人達も多く、オーストラリアは日本人の住んでみたい国のトップを走り続けていた。

家族で来ているとは言ってもその他に親族も友達もいないのは皆同じで、日本人会や子どもの学校を中心にして日本人が集まり情報交換をしたり、子ども達に日本文化を教えるということで様々な催し物をしたり、またしょっちゅう集まってパーティー、男同士は飲み会をやっていたっけ。

そしてそれぞれが起業したり仕事を持っていたし、皆が慌ただしく生きていた。でも充実して楽しいオーストラリア生活を送っていたのではないかと思う。

ところがある頃から段々と抜けていく人達が出てきた。それはゴールドコーストへ投資している企業の引き上げであったり、始めた小さな事業の失敗であったり、そして金銭的なものも含む家族内で問題が出てきて帰らざるを得なくなったり。

盛大なさよならパーティを開くこともあったけれど、そういう雰囲気ではなくていつのまにか消えるように去っていく人達も少なくなかった。

日本の景気はどんどん悪くなり、そしてオーストラリアの永住権を取得するハードルは上がり、退職者ビザの取得も難しくなり、オーストラリアへ渡ってくる人達は激減した。人数は増えず、どんどん減るばかり。

(しかしこれは結局バブルの落とし子が減った、消えたということであって、今でも少ない数ながらオーストラリアへ渡って来る人達の中にこそ、本当の「オーストラリアにおける日本人移民史」を作る人達がいるのだろうと考えています)

子ども達も大きくなってくると皆で集まってパーティをすることも少なくなりましたわ。昔は必ず毎月一回は我が家で30-40人規模のパーティをやっていたけれど、段々とその回数も減り、子ども達は子ども達で集まるようになり、我々大人は少人数で集まってこじんまりとパーティをやるようになった。

昔のパーティーが懐かしいですわ。オーストラリアの物価は安かったし、人数が多いとバーベキューが一番楽なわけですが、私はバーベキュー係で、あとはそれぞれが一品持ちより。バーベキューの具材は最高の牛肉(当時1キロ1400円ぐらい。グラム140円)、伊勢エビも1キロ2800円程度、鮑は手のひら大のが1800円で買えたから、それはそれは豪勢でした。(オーストラリア人の一般的なバーベキューは、ステーキが無いのは普通で、ソーセージとパンだけというのが多い)

でも、パーティのメイン料理は何が良い?とパーティ前に皆に聞くと、ほとんどの人が

「おでん」

と答えたのが面白かった。日本ではおでんは庶民の料理だけれど、こちらではそれこそ鶏卵、ジャガイモ、大根以外は全部輸入品で、高級料理といっても良かったかもしれない。大根とてかつては入手は簡単ではなかったっけ。で、おでんはどういうわけか少量作っても美味しくないんですね。ですからとてつもなく大きな鍋にごっそり作っておでんがメインのパーティも良くやりました。

懐かしいなぁ。

子ども達は子ども達で集まってゲームをしたりプールで泳いで大はしゃぎ。女房族は女房族で集まっておしゃべり。男性群はこれまた固まって酒盛り。中には釣り好きがいて、わたしもそうだけれど、家の桟橋から釣りばかりというのもいたっけ。

我が家の前の川で釣れる魚は黒鯛とキスがメイン(黒鯛は40センチ級のが釣れたし、キスは日本ではもういなくなったと言われるアオギスが主流。20-30センチ)。夏場になると小魚を追ってなんとシマアジが川(海水)に入ってきて、生き餌(小魚)を使って釣ったっけ。また、マッドクラブという大きな蟹は仕掛けを投げ込んでおくと、一晩に3,4匹は簡単に獲れた。そんな家の前で調達した食材をパーティ仲間である友人の板前がすぐ料理してくれて、まぁそれはそれは楽しいパーティでした。

でもそんなパーティももうこの10年やっていません。庭にあるバーベキューセットを最後に使ったのはいつの頃でしょうか。黒い厚手のビニールカバーを被せたままで放置。

女房も釣り好きで、かつては桟橋に酒とつまみを持って行き、夜が明けるまで二人で釣りをしたことが何度もありましたが、もうそれも遠い思い出。

フト気がついたら、友達も知り合いも激減していました。本当に今では数家族との付き合いしかありません。

その最後の最後の、一番仲が良かった友人が来週日本へ引き揚げます。

なんだか、私の中では、ゴールドコーストでの生活は終わったという気がしてなりません。

でもまだ数家族、仲がいいのが残っているのは間違いがなく、彼らには

「本当にマレーシアに行くの?やめなよ~~~~~」

と会う度に言われます。

本当にマレーシアが我々にとって良い場所なのか私にはわからないし、女房の本音は行きたくないというのに変わりは無し。でも、子ども達もいなくなった今の大きな家を維持するのも無意味だし、どうせこの家を処分しなくてはならないのなら、19年前に日本に区切りを付けてオーストラリアへ来たのと同じように、今度は夫婦二人で新しい世界に歩み出してみたいのです。

マレーシアへ渡る方々は、第二の人生だとか、ご褒美人生と仰る方が多いですが、年代は私も一緒だとしても、私は今まで好き勝手にやってきたわけですから、我々にはご褒美も何もないんですね。それどころか、今までがご褒美人生だったような気さえするわけです。

ゴルフも釣りも飽きるほどやってきました。それって私達が優雅な暮らしをしてきたということじゃなくて、オーストラリア自体がそういう国だということです。前にも書いたことがありましたが、我が家の芝生を刈り、庭の世話をしてくれていたオヤジさんは、普通の企業の部長クラスだったのを面白くない人生だと突然辞めて、芝刈り専門になったような人。プール付きの家に住み、自分のボートを持って釣り三昧。年に一度は夫婦で海外に遊びに行ってるし、来た当初はそんなオーストラリア人の生活を聞いてびっくりしましたっけ。

でも今ではそんなのは驚くことでもなんともなく、普通の人が普通の仕事をして、日本人には優雅に見える生活をしているのが当たり前の国だというのがわかる。年金を含む社会保障もしっかりしていて、最近老人の自殺者が増えてきたとはいうものの、まだまだ生活は楽だと思うし、人生をエンジョイしている人達は多い。

そんな中で19年生きてきましたので、今更、あれをしたいこれをしたいというのが正直なところ思い浮かばないんです。

いわゆる遊びは充分やってきましたので、私としてはこれから人生の仕上げとして、今までやってこなかったこと、あるいはどうしても知りたいこと、理解したいことをやってみたいなんて考えています。

「私は誰?どこから来てどこへ行くの?」

この問いは子どもの頃から持ち続けていましたが、それをやっぱり知りたい、確認したいという願望が強くあります。自分とは何で、どう生きるべきなのか、そんな疑問に対する手応えのある答えを探してみたいです。

さてさて、マレーシアで私は何を発見することが出来るんでしょうか。また私にくっついて行く女房もそこで幸せを感じることが出来るのでしょうか。

女房ですが、私はごく一般的に言われているような、「今まで苦労を掛けた女房」という感覚は一切ありません。女房は女房で好きなことをやって生きてきた女性ですし、私の仕事やお金のことで苦労を掛けたことは一度もありません(ないはず)。これもまた、オーストラリアでは当たり前の夫婦像なのかもしれません。どっちが我慢した支えた、苦労したということはなく、夫婦も平等。

ある意味、お互い我が儘な夫婦と言うのが当たっているはずですが、趣味も違う、考え方もまるで違う我々夫婦の関係そのものがマレーシアに渡ったらどうなるのかというのも気になるところ。

お互い食ってりゃ幸せ、飲んでりゃ幸せというところに共通点はありますが、飲み食いなら私は日本以上に凄い国はないと思うし、一体マレーシアでどうなるんでしょうねぇ。

ま、マレーシアに渡ってのんびりと今までの総括をしながら、心の底から「これをしたい!」と湧いてくるものを待つことにします。

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今これを書きながらやっぱりオーストラリアって凄い国だとあらためて感じました。結局マレーシアへ渡る良さというのは、物価の安さであり、優遇税制であるというのがポイントで(それ以外のことはまだわからないし、想像の域でしかない)、そこに住むと考えた場合、永住権も無いし、永住権があったところでマレーシアの社会保障はあてに出来ないという大きなデメリットがある。

オーストラリアで我々が受けることの出来る恩恵ですが、失業保険は65歳まで何年でも出ます。3ヶ月だ半年だというけちくさい事はないし、失業保険は一般財源から出るので、保険料の支払いは不要。これは老齢年金も同じで、夫婦二人でどうにか生きていけるだけの額はでます。これも一般財源からで、保険料の支払いは無し。全ての人に支給されます。ただし、収入や資産に制限があって、いわゆる金持ちには支給されない。これは日本で言う生活保護に似ているわけですが、私はこれこそが「国が国民(永住権含む)の老後の面倒をみる」ということだと思っています(これプラス私的年金のスーパーアニュエーションへの加入が義務づけられているからかなり額は多くなる)。医療ですが、公的な機関に行くのであれば基本的には無料と言っても良いかもしれません。これはイギリスを宗主国としたコモンウェルズの国々によくあること。

そういう意味では、住んで生活をするという意味において、社会保障の厚い北欧の国々に比べてもひけを取らないかもしれない(ってほどでもないか)し、世界の住みやす国の上位に挙げられるのも納得がいく。そういう視点からマレーシアを見ると、なかなか大変な物があるように思えてきます。

もちろんマレーシアの永住権を持っているわけではありませんから、マレーシアにどんな素晴らし社会保障があってもそれを受けることも出来ませんし、マレーシアはMM2Hの日本人を守る義務さえない。所詮、我々は長期滞在の旅行者と同じであるとしか言えないのでしょう。

本来、国は国民(永住権含む)を守る義務があるわけで、そういう庇護の元から離れて他国で生活するというのは、本当に年老いた時にどういうことになるのか、それも真剣に考えたいと思っています。

私としては日本かオーストラリアか選べる状態であるというのは非常に恵まれていると思いますし、本当に、オーストラリアには子ども達の事も含めて感謝しなければならないことばかりです。

しかし今の状態は偶然そうなったわけではなくて、そういうオーストラリアだからこそ一生をオーストラリアに賭けようと、あの手この手を考えて永住権を取り、日本の安定した生活を捨てて移民として渡ってきたわけですし、その後はもっと大変で、何もわからないオーストラリアでどうにか基盤を作り、泣きたくなるほど高率な税金も払い、脱落しないように頑張ってきました(オーストラリアに貢献したかどうかはわかりません)。決して棚からぼた餅で手に入れた環境じゃありませんから、今後もオーストラリアを簡単に切ることはできません。

と言いつつ、私たちは今、マレーシアを選びます。\(^O^)/

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別れ” への3件のコメント

  1. SECRET: 0
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    はじめまして。
    私もいろいろ移住地を変えてきました。

    自由人で、わくわくするところへ、が答えかも

  2. SECRET: 0
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    別れ疲れたので 友達を作っていません

  3. SECRET: 0
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    morimoさん、はじめまして。

    わくわくするところですかぁ。その言葉を聞いて、私は自分に嘘をついていると思いました。私が一番行きたいところはマレーシアじゃなくて、実はグアムだと気がつきました。でもアメリカの永住権は取れないし、また取りたくないし、長期の滞在ビザは存在しないし。ま、無理なことを考えてもしょうがないですねぇ。

    大西さんから何度かその言葉を聞きましたが、そこまで開き直れるのが凄いと思いますわ。私はやっぱり友達は欲しい。でも歳のせいか、適当に合わすのがイヤになってますし、人付き合いがうまい人の腹の中が読めないとか、大勢の中で自分の居場所を見付けるのもうまくないのでなかなか難しそう。ま、自然体で行きますわ。

    それと最近思うのはやっぱりネットの凄さ。最近私の友人はネットの中の友人が多いのですが、距離を感じないんですよ。いつでもコンタクトは取れるし、それを考えると別れに対する考え方も変わってくるかもしれないのが楽しみ。

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